若者たちから「うっせぇわ」と言われたくない年配“ブーマー世代”が今すぐにでも取り組むべきこと

 

OK, Boomer!

世代間ギャップといえば、“OK, Boomer!”というセリフをご存じでしょうか?2019年に、ニュージーランドの議会で気候変動リスクに関してスピーチをしていた20代の若い女性議員が、ヤジを飛ばす年配議員を軽くいなしながら発したこの一言が世界中に拡散されて大流行語となりました。そのセリフを引用したTシャツなど、さまざまなグッズも出回りました。

【関連動画】“OK, boomer”: 25-year-old lawmaker shuts down heckler during climate speech (27秒あたり)

年配世代が若者に対して上から目線で見下した態度を取ったり、訳知り顔で批判したりするのは、特定の国に限った現象ではなく世界共通ということなのでしょう。“OK, Boomer!”とは、そのような態度にうんざりした若者たちが、上から目線の年配者に対して、「うざいなー、はいはい、わかったわかった、もういいよ、自分たちは気にせず前に進むから、ほっといてね」というような反撃の気持ちを込めて爽やかに相手を冷笑するセリフとして、若者に限らずそれこそ世代を超えて共感を呼び大受けしたのです。

すなわち、“OK, Boomer!”とは、気候変動リスクなど、未来の諸問題について根本的な対策を先送りにしながら上から目線の発言を続けるブーマー世代に対し、いわゆるミレニアル世代やZ世代の若者たちは、そうした無責任な世代が自分たちの未来を危うくしていると感じ、彼らが何を言おうが構わず行動を起こす、という宣言でもあります。

そこまで深刻ではなくても、スマートフォンやSNSにハマったライフスタイルや、服装、髪型、性別などに関するオジサンやオバサンの小言を“OK, Boomer!”の一言でスルーする動画が、TikTokなどに溢れました。

ちなみに、世論調査機関による2019年の調査によると、ブーマー世代は1946~64年生まれ、ミレニアル世代は1981~96年生まれ、Z世代は1997以降生まれの世代とされており、その間に1965~80年生まれのX世代もあります(図1参照)。

図1:PEW Research Centerによる各世代分類

図1:PEW Research Centerによる各世代分類

ソニーやグーグルでの経験

私も、ソニーに勤めていた時には、年配社員の人たちへの対応にはいろいろと苦労した経験があります。前にも紹介したことがありますが、そんな時にいつも背中を押してくれた言葉に、創業者の一人、井深大さんの「上司に反対されたくらいで止めるのなら最初からやるな」という言葉がありました。

ソニーは、もともと「人がやらないことをやる」ということに対するこだわりが強い市場創造型の企業だったのですが、それでも新商品開発や新しいマーケティングチャレンジなどを進めようとすると、心無い言葉を浴びせてくる上司や先輩社員、役員などがたくさんいました。

当時は、“OK, Boomer!”のような気の利いた言葉はありませんでしたし、さまざま足を引っ張ってくる人たちを撃退するのは簡単ではありませんでしたが、私の場合は上記の井深さんの言葉にずいぶんと助けられた気がします。それ以来、何事につけ、自分がやろうとすることに対してネガティブな忠告をしてくる人たちは、自分の本気度を試してくれているありがたい人たちなのだ、という風に受け止めることにしています。

なお、今でも、自分よりも年配の人たちから、こちらの意見をあまり聞こうとはせずに自説を押し付けられるような話し方をされることがあります。そういう時には、顔ではニコニコしながら、心の中では“OK, Boomer!”と言っています(笑)。

これも以前に紹介したことがありますが、グーグルには、Googleyness(Googliness)という言葉がありました。グーグルの企業文化として、世代の違いを始め、価値観やスタイルなど、さまざまな違いを超えて、誰とでも率直かつフェアにコミュニケーションする能力が尊重されていました。「イノベーションは普段のコミュニケーションから生まれる」という信念で、ことさらにコミュニケーションの重要性が語られ、コミュニケーションを活性化するための施策や職場環境に腐心している会社でした。

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