一人暮らしを始めたばかりの学生はカルトに狙われる。現役探偵が伝授「怪しい宗教団体」から身を守る3つの方法

 

我が子を新興宗教に絡み取られた親が感じた異変

2022年に北海道から関東にキャンパスがある大学に進学したAさんは、大学が斡旋する賃貸不動産を保護者が契約して大学の近くに一人暮らしをしていた。

大学1年生の間は、親に多くを求められない経済状況であるから、アルバイトを決めたり、大学の生活、一人暮らしに慣れるなどで大忙しであり、サークルなどの活動には参加していなかったそうだ。

2023年になり、後輩が数人、同じキャンパスに来るということで高校の先生や両親から紹介されて世話役になった。その中のBさんが大学非公式のボランティア団体に興味があるということで、一緒にその団体の説明会に行った。

当時のLINEのやりとりをみる限り、その団体はゴミ拾いをしたり、地球規模の環境問題についてのセミナーをするなどの活動で、説明会で出てきた大学生は同じ大学の人もいて、人当たりがよく、何でも話せる雰囲気だったと満足している様子がうかがえた。

ゴールデンウィークに活動の合宿があり、Bさんと参加したいというところまでは、Aさんが順調に大学生ライフを満喫し、明るい将来を夢見ていたような親子のやりとりが確認できたが、この合宿以降はそのやり取りがほとんどなくなる。

そして、夏休みAさんは両親にBさんと一緒に住みたいと相談した。家賃が安くなる他、Bさんの両親も知る仲であったので承諾をした。

引っ越しで両親が立ち会い、部屋なども見たが特に異常を感じることはなかったが、2024年の5月頃から連絡が途絶え、心配になった両親が部屋を訪ねたが、誰も応答せず、管理会社に事情を説明してなんとか部屋を見せてもらったが、部屋に帰っている様子はなかった。

大学にはまだ籍があるが、出席が足りないものもあるようだった。この段階でAさん本人から両親に抗議の電話があり、一方的に縁を切ると宣告してきた。このときの様子をAさんのご両親は、一言で言えば、我が子は気が狂ったのだと感じたそうだ。

Bさん両親にも事態を伝え、Bさん両親も動き出したが、同様の対応であったという。

彼らは方々走り回り、我が子に何が起きたのか知ろうとしたが、ほとんどわかなかったそうだ。当然、警察や大学などにも相談をしたが、成人していて、大学などからの問い合わせにはきちんと応対し、意思表示もはっきりとしているため、何ら行動を起こすこともできず、行きついた先が私であったというわけだ。

2025年1月に相談を受け、私が調査に乗り出したわけだが、「大学入学を機に」「親子断絶」という状態は類似事案と共通していた。

調査の手法や経緯は非常に細かく長くなるので割愛するが、AさんとBさんが入会したのは、ある新興宗教が勧誘のために隠れ蓑にしているボランティア団体であった。ボランティア団体自体は関連を否定するが、幹部のほぼ全員が信者であり、半年以上活動した者はほぼ間違いなく信者になるわけで、たまたま信者が集まってしまったという言い訳は聞くに堪えないものだ。

しかし、表向きそうした看板があるわけでも名札があるわけでもないから、AさんもBさんも気が付かず深みに嵌ったのだろう。ボランティア団体の活動を通じて信者と交流するようになって、入信してしまったというのが、この問題の中心的なことである。

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