「豆」がヒント?松本人志はどんな新作を生み出すか
松本人志と浜田雅功は、ともに兵庫県尼崎市出身。彼らが子供時代を過ごした頃の“アマ”は光化学スモッグが立ちこめ、ときにアスベストが飛散することもある“工業の町”だった。
お世辞にもガラがいいとは言えない下町には、多くの出稼ぎ移住者や在日外国人が暮らしており、いわゆる「同和問題」において「被差別地域」と呼ばれるエリアも市内に点在していた。
ナチュラルな差別が横行すると同時に、反差別闘争も盛んだったという当時の尼崎。そんな土地柄から生まれたとしか思えない、『ダウンタウン』の尖りまくった名作コントが存在するという。先の芸能ライターが説明する。
「『ダウンタウンのごっつええ感じ』で1997年に放送された、『豆』というコントがそれです。豆嫌いの子供が、食事中に親の目を盗み、こっそり豆を捨ててしまう。すると“豆のもん”を名乗るヤクザ風の男2人が突然、家に乗り込んでくる。男たちは“ここ座れ”“えらいことしたなぁ”“自分が何したか言ってみぃ”などと因縁をつけ、“おまえ豆捨てたやんけ!”と、子供に豆を捨てたことを謝罪させる――という内容です。これだけなら食育のようにも思えますが、もちろんそうではありません。その後、男たちは家族全員に『豆と日本人』という洗脳映画の鑑賞を強要し、はては父親をクルマに詰め込み拉致してしまうのですから…(笑)。
実はこれは、関西出身の人間なら誰もが『あの部落解放同盟をおちょくっている…』と震撼してしまうコントなんですよ。当時の『解同』はまだまだ力を持っていて、うっかり“差別者”と認定された個人や企業は徹底的に“糾弾”されたものでした。地上波でそのタブーをやすやすと破ったということで、今でも最高のコントの1本に挙げるファンがいるほどの名作です。個人的には、こういう尖りまくったお笑いをサブスクでたくさん見てみたいと思っています」(芸能ライター)
このコントで松本や浜田は、反差別団体による「差別糾弾会」や、当時の小学校でよく上映されていた「道徳映画」の理不尽と欺瞞を暴き、一流の笑いに昇華してみせた。その背景には、部落差別(同和問題)を口実にして企業や官公署等に不当な利益や義務のないことを求める“えせ同和行為”への問題意識もあったはずだという。
かつてタブーだった“えせ同和”問題が、今でいうところの何に相当するのかはわからないが、たとえばこの「豆」のようなコントを多数用意できれば、『ダウンタウンチャンネル』は想像以上の急成長を遂げる可能性もありそうだ。
あるいは、松本には“自分をスキャンダルで理不尽に追い詰めた”文春砲が、えせ同和界隈で有名な“差別される側が差別だと感じたらそれは差別である”という「朝田理論」と同じに見えているのかもしれない。
いずれにせよ今後、松本がどんな新境地を切り拓くのか注目だ。
image by : 松本人志 吉本興業公式サイト









