トランプの「顔を立てるため」に切り捨てられる台湾。米中が関税協議の席に着く裏で進みかねぬ最悪シナリオ

 

中国が予見する“第2、第3のトランプ”の出現

そもそもベッセントが言及したように、「米中が互いに高関税を賦課する現状は持続可能ではない」のだ。

中国はそうした現実をアメリカ国民が広く実感するまで、耐え抜こうとしているのかもしれない。

その理由は簡単だ。

単に相殺関税が解消されても、アメリカ国民が広く米中対立のデメリットに気が付かなければ、第二、第三のトランプが今後も現れ、無駄な米中対立が繰り返されると中国は見ているのだ。

実際、訪欧したJ・D・バンス副大統領は、トランプよりも強硬な姿勢で欧州を突き放した。バンスらの世代の政治家を支えるブレーンたちの考え方にも、対外強行の傾向が顕著だとされる。

つまり、いま多少の返り血を浴びたとしても、彼らにルーズルーズを学ばせること方がはるかに重要だと中国は考えているのだ。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2025年5月4日号より。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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