“世界一の親日国”台湾から届く善意の1万トン。コメ不足にあえぐ日本へ台湾が恩返しの意味で送る“日本人が生み出した蓬莱米”

 

台湾発展の礎となった日本の功績を評価する姿勢

磯永吉については、以下のような逸話もあります。

ジャポニカ×インディカの交配は当時至難と思われていた。だが、ぼう大な数の交配を繰り返すことによって、この困難は克服され、「嘉南2号」などの優良品種が育成された。並行して行われた日本稲同士の組み合わせからは「台中65号」などの優良品種が育成されている。彼らが育成した品種は総計260にも達したという。

大正11年、総督府は蓬莱米の普及に踏み切った。蓬莱米は収量で2割、農家収益では30%のアップにつながる。蓬莱米普及前の大正10年の台湾米生産量は75万トンだったが、普及後の昭和13年には147万トンに達している。特筆すべきは単収が150キロから230キロに急増したことである。有名な緑の革命の40年前の出来事だが、磯らの活動こそもう一つの緑の革命といってよいだろう。

昭和20年に日本は敗戦。だが磯は長年の功労を評価され、請われて台湾に残留した。さらに10余年の台湾農業への貢献を終え、彼が帰国したのは昭和32年。帰国に際し、台湾の政府は毎年1,200キロの蓬莱米を終生彼に贈ることを約束し、深謝の意を表明した。食糧管理法の関係で米は換金されて磯に贈与されたらしいが、心温まる逸話である。

台湾政府から毎年感謝米1,200キロ~「蓬莱米」の父・磯永吉~

上記の資料によれば、磯永吉への米贈与は換金されたようですが、今、米不足で困っている日本に台湾政府は台湾米の輸出を、「直近5年の平均輸出量の約3倍に相当する」、1万トンに増加するということです。以下、報道を一部引用します。

農業部(農業省)の胡忠一(こちゅういち)政務次長は13日、今年の対日輸出量は1万トンを超える見通しだと明らかにした。これは直近5年の平均輸出量の約3倍に相当する。

同部農糧署が開いたコメ関連新商品の発表会に出席した際、報道陣の取材に応じた。

胡氏によれば、台湾は無関税の「ミニマムアクセス」の枠内で、2020年から24年まで年平均約3,500トンのコメを日本に輸出。今年は7,160トンの枠を獲得した。今年1月から4月までの対日輸出量はすでに5,136トンに達している。胡氏は、枠外のコメには1キログラム当たり341円の関税が課されるものの、それを含めても日本で売りさばけると話した。

胡氏は、台湾米は日本のコメと同様にやや粘り気があり、価格は日本米の半分であることから日本で競争力を持つと紹介。また、日本が台湾を統治した際にコメの栽培技術と品種を台湾に残し、台湾は後に暑さに強い品種をさらに多く開発したと言及し、日本市場で台湾米と競争できる国は他にないと自信を見せた。

日本のコメ不足で台湾米の輸出増加 年間1万トン超える見通し

台湾の米が日本の米の味に近いのは当然ですよね。そして、その味に自信を持って、胸を張って輸出する台湾の農業部の姿勢には、前出の頼総統と同じように、台湾への愛情と日本への感謝を感じます。日本に統治されたことへの恨み言は言わず、功績を評価する。この姿勢があるからこそ、今の台湾の発展があるのではないでしょうか。

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