「減反を廃止しコメを安くせよ」石破首相の号令を無視する農水官僚の面従腹背
参院選に政権の浮沈がかかる石破首相としては、なんとかして投票日までにコメ騒動を落ち着かせなければならないが、農水省と農水族議員のガードが固く、思い切った対策を打てないのが実情だ。
2月28日、首相官邸の総理執務室には、石破首相と農水省の渡辺毅次官らの姿があった。減反廃止をめぐり、石破首相は「いつまでも減反を続けるべきではない。生産性を上げて、農家が自由にコメをつくれるようにすれば、米価は安くなる」と主張した。
渡辺次官は、生産性の向上については「しっかり取り組みます」と述べたものの、減反廃止には難色を示し続けた。(2025年3月9日・朝日新聞)
業を煮やした石破首相は小野寺政調会長を呼びつけ、党で対策を立てるよう指示したというが、そこには森山幹事長、坂本哲志国対委員長ら大物農水族に向けた当てつけのような面があったとも考えられる。
キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は備蓄米放出について「将来的に国が買い戻す条件付きでJAなどの集荷業者に販売するとなっている。放出してもいずれ市場から引き揚げるのであれば、コメの供給量は増えない。これでは米価を引き下げる効果はなく、国民は高いコメを買い続けることになる」と指摘する。
要するにコメの供給量が少なすぎるからこのような現象が起きるのだ。
国が買い戻す条件付きで備蓄米を放出するという制度は、コメの流通を一定量以下に調整して価格を維持する「減反政策」によるものだ。(次ページに続く)