“シューカツ”は誰のため?就職率98%の時代に漂う「若者たちの不安」

 

一方で、これまでの「シューカツ」の歴史を振り返れば、来るべきしてその時が来ただけ、なのかもしれません。

私の取材メモを振り返ると「シューカツ」という言葉が一般的に使われだしたのは2010年頃です。お見合いが「婚活」になったことで「結婚相手を探す活動」が軽くなってしまったように、就職活動も「シューカツ」になり、「就職先を探す活動」も軽くなりました。

「数打ちゃ当たる」とばかりに学生はエントリーシートを出しまくり、企業側も「数打ちゃ当たる」とエントリーする学生を必死で集めまくりました。

さらに大学側は「キャリア教育」という名のもと、やれ自己分析だ、それ他己分析だ、ほれコミュニケーション能力だと「即戦力教育」に明け暮れました。

すべては「大人たちが大人たちのため」に作り上げた、学生を置き去りにした奇妙なシステムです。

本来、キャリア教育とは「キャリアレディネス」の向上を目的に行われるのに。学生がおいてけぼりにされているのです。

自分自身のキャリアに対する欲求と興味を開発し、発見する自分自身の能力と才能を開発し、発見するキャリア選択をできるだけ広くできるような学業成績を収めるキャリアについて学ぶための、現実的役割モデルを見つける

これらの課題に学生が主体的に取り組み、一つひとつ達成していくことで学生のキャリアレディネスは高まります。そして、これらの経験の全てが会社組織への適応に役立つのです。

インターンはそのためにあるのに、日本ではインターンは内定をゲットするための手段に成り下がりました。

欧米では、学生は「自分を採用してもらうため」に学業に精を出します。学生は「キャリアレディネス」を高めるために、インターンを複数回経験します。

そのすべてが「未来の仲間」を育てるためであり、「学生」が社会の一員として、自立し、協働し、「働くことで幸せになる」ための準備でもあります。

かたや日本はどうでしょうか?  

社会人になるための準備もないままに会社員になり、短期間で独り立ちさせられるのですから、うまくいくわけがありません

いい加減、大人たちのために大人たちが作り上げた利益誘導社会の中の「キャリア教育」をやめ、うまく働ける若者を作るために、企業側もきちんと汗をかいて欲しいです。

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