軍産複合マフィアの強烈な圧力下にある米議会とホワイトハウス
軍部が、あるかも知れないがほとんどありそうにない「脅威」を大袈裟に言い立てて予算獲得の一助とするのは、常套手段である。
それは政権にとっても好都合の面があって、米国最強の産業ブロックであり最大の輸出部門である軍需産業は、共和・民主両党にとって実は最重要のパートナーで、米軍のための予算を惜しみなく注ぎ込んで恩を売るだけでなく、外交政策を通じて同盟国や友好国に誇大な脅威感を植え付けたり、その挙げ句に戦争に走らせたりして、最新鋭・超高額の兵器を売り込む市場を開拓して大儲けさせる。
その政府による内外軍需セールスの見返りとして、政権党は莫大な政治献金を得ることができる。これが「世界史上最大の戦争国家」と呼ばれる米国の実体的な利権循環構造である。
アイゼンハワーは、上述のように1954年には率先して反共宣伝を振り撒き冷戦を煽りまくったが、61年1月の大統領退任演説ではさすがにその結果の重大さに気付いて、よく知られているように、自らがその増長に貢献した「軍産複合体(Military-Industrial Complex)」が米国を蝕んでいく危険を正面から告発した。
彼の演説草案では「軍産議複合体(Military-Industrial-Congressional Complex)」と書かれていたのが、議会自身のクレームで「議会」の語そのものが削除されたことは、余り知られていない。が、米国政治すなわち議会とホワイトハウスの動向が常時、軍産複合マフィアの強烈な圧力下にあるということが、米国の深い病の原因である。
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