「イランを増長させたのは米国のイラク侵攻」という事実
カリーマが言うように、そのイランが今世紀に入って中東全体で一段と影響力を増したのは、米国のイラク侵攻のせいである。
イラクが大量破壊兵器を所有しているというフェイク情報に踊らされてブッシュ・ジュニアが2003年にイラク戦争を発動し、サダム・フセイン政権を打倒する「イラクの自由作戦」を実施、サダムを殺害し民主的な選挙を行わせた結果、何が起きたかというと、人口的には少数派ながら歴史的に政治・軍事の中枢を支配してきたサダムらスンニ派の権力が解体され、隣国イランからイラク南部にかけて広がっていた人口的には多数派のシーア派が台頭し、結果的にイラクはイランの従属国家のような地位に貶められてしまった。
そのため、旧フセイン政権のスンニ派の軍人や過激派活動家は「IS」はじめテロ集団となって拡散する一方、一部はパレスチナのスンニ派のハマスにも流入したと言われる。またシーア派のレバノンのヒズボラ、イェーメンのフーシなどもイランの革命防衛隊の支援を得て活動を活発にした。
もう1点、カリーマがサラリと言っている「イスラエル自身は核兵器を保有している」というこの1行が、実は、今日の事態を理解する上での核心である。
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