もうひとつ、大切なのは「すぐに解放すること」。
ある会社では、営業部長が交代してから、売上が伸び悩むようになったといいます。原因は、連日の長時間会議。
「なぜ売れない?」「なぜ顧客がつかない?」と、朝から大声で問い詰め続ける部長に、社員たちは外出するタイミングを失い、お客様の元に行くこともできません。「この時間があれば1件でも訪問できるのに…」と誰もが思いながら、声を上げられない日々を過ごしていました。
営業の本来の仕事は、お客様の元に出向いて、契約を取ること。それなのに、長い会議や日報作成、社内業務にばかり時間が取られ、営業活動の比率が30%にも満たないというデータもあります(理想は50%以上)。
『決定版ランチェスター戦略がマンガで3時間でマスターできる本』(田岡佳子著)では、日本の営業マンがいかに訪問時間を削られているかが指摘されています。
つまり、「売れない理由が分からない」原因のひとつは、そもそもお客様と向き合う時間が足りていないこと。答えは会議室にはなく、現場にあるのです。
売れない理由は、顧客自身が知っている。だからこそ、営業社員はなるべく早く現場に出て、顧客の声を拾い、反応を見て改善していく必要があります。
「集合のタイミング」と「解放のタイミング」。この2つを意識するだけで、社員の集中力と行動力は格段に変わります。チーム全体のスピードも自然と上がっていくでしょう。
急がば回れ。「今すぐ!」の声かけをぐっとこらえ、少し先の時間を示してみてください。そのひと呼吸が、チームの生産性を守る第一歩になります。
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