「自称カウンセラー」等の被害に遭わないための注意点
さて、話を戻そう。
もしも保護者やいじめの当事者である児童生徒などが、法律的な相談をしようと思ったらどうすればよいか。無料相談であれば、役所や弁護士会などが無料相談会をやっていることがあるので、そうした情報を検索するのが良いだろう。
また保護者の方は、加入している損害保険や学資保険など、保険系の約款やサービスなどが書いてあるパンフレットをよく読んでもらいたい。結構な率で、弁護士特約が付いていたりして、そうした保険の制度を利用して、無料相談が出来たりもする。
無料相談の範囲では、何かの書類を作ってもらったり代わりに何かを使えてもらうなどの業務は無いだろうから、自分でできない範囲は当然費用が発生するだろう、それでも、依頼をすることをお勧めする。
やはり弁護士は法律の専門家である。仮に何かの法律の条文を暗唱できたとしても、弁護士の足元にも及ばない付け焼刃に過ぎないのだから、無理せずに依頼をするのがよいのだ。
収入によっては法テラスで法律扶助が使えたり、様々な救済制度もあるから、弁護士会や法テラスに相談してみるのも手だ。
ちなみに、内容証明郵便を送れば大丈夫!と勘違いしている人も多くいるようだから、その点に言及しておくが、内容証明郵便とは、単純に郵便局がこの手紙にはこうした内容が書かれていました!と証明するに過ぎない。
つまり強制力はないのだ。何のトラブルにも巻き込まれたことがない人が、仰々しい文書を受け取れば焦るかもしれないが、慣れた人間であれば、「無視」で終わることも多い。
理由は従う必要はないからだ。
さらに言えば、この内容にちょっとでも脅迫めいたことや過剰な要求があれば、それ自体が問題になってしまう。つまり、送った側、そのお手紙を書いた者に非があるとみなされることになり、それを内容証明だから、郵便局が証明しますとなってしまう。本末転倒とはこのことだ。
だから、内容証明郵便をするしないは、弁護士に相談して欲しいのだ。また、弁護士法から考えれば、これは弁護士のみの専売特許とも言える。弁護士以外が法律事務を有償で請け負うのは、弁護士法72条違反の非弁行為にあたり、懲役刑もある犯罪行為になってしまうし、中途半端な知識や経験で、踏み込んでよい領域ではない。自己責任で自分の事をやるのは自由だが、当然、それで責任が発生すれば自分に火の粉が飛んでくることになる。
いじめの場合は、特に夏休み明けの直前になると、多くの弁護士会が無料相談窓口を設けて相談に対応するというのがニュースになったりするから、そうした時期を待ってみてもいいだろう。
中途半端な自称専門家や知識や経験、臨床などの裏付けがない自称カウンセラーなどの被害があとを絶たないから、相談先の実績や専門性は、自分でよく調べることを強くお勧めする。
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