「戦争の早期終結を本気で願う動きがない」という実情
中東アラブ諸国としては、同胞パレスチナ人の境遇を嘆き、一刻も早い戦争の終結とパレスチナ国家の樹立を支持していますが、必ずしもイスラエルとガザ問題の早期終結を心から歓迎しているとは限りません。
中東各国を訪れて時に耳にする話に驚くことが多々あり、必ずしもPro-Palestineというわけではないその背景には、かつてパレスチナ人が各国で暴れた歴史があり、必ずしも周辺国で好かれていない・歓迎されていないという現実とガザ市民に刷り込まれているハマスの思想が自国に持ち込まれ、イスラム同胞団のような反政府勢力を勢いづかせることを警戒しているという現状もあり、(ゆえにトランプ案でパレスチナ人・ガザ市民を周辺国に移住させるというアイデアに激しく抵抗した)、イスラエルという共通の敵を持つことで、アラブ諸国間のデリケートな力のバランスを保つための連携が強まると同時に、独自防衛システムの構築に向けた時間稼ぎが行えるという事情も絡んでいます。
実際に調停プロセスにも絡んでいる立場としては、残念ながら中東における軍事的な緊張も、ロシア・ウクライナ戦争も早期の解決はかなり困難であると考えています。
その背景にはこれまでに触れた数々の要素が複雑に絡み合っており、実際に戦争の早期終結を本気で願う動きが出てきていないのが実情です。
2つの大きな戦争(実際にはイスラエルとイラン、レバノン、シリア、ガザという4つと、ロシア・ウクライナ戦争)が同時進行で、皮肉にもネガティブなバランスと安定が今、この国際社会に存在し、そのバランスを今、変えようとする動きがあまり見当たりません。
その“ネガティブなバランス”環境を揺るがしそうなのが【緊迫するロシアとアゼルバイジャンの関係の急速な悪化】です――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2025年7月25日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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