3.年金受給権が足りなかったので65歳以降も任意加入をして受給権獲得
どうしても年金を受給したかったので、300ヶ月までに足りない74ヶ月間は60歳からの国民年金任意加入を利用する事になりました。これにより60歳から65歳(平成26年7月)までの60ヶ月と、65歳から70歳までの間で14ヶ月間特例任意加入(受給権足りない人のための任意加入制度)を利用し、平成27年8月31日まで加入しました。
そのため、平成27年9月1日に年金受給権が発生し、10月分から年金を受給する事ができるようになりました。受給権を獲得した後はもう65歳から70歳までの任意加入はそこで終わり。
- 任意加入期間→74ヶ月
◯平成27年10月からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→23万円×7.125÷1,000×87ヶ月=142,571円(差額加算は微額のため割愛します)
◯平成27年10月分からの老齢基礎年金→829,300円(昭和31年4月1日までの人の令和7年の基礎年金満額)÷480ヶ月×(厚年87ヶ月+全額免除78ヶ月÷3+任意加入74ヶ月)=323,081円
◯妻の配偶者加給年金から振り替えられた振替加算→90,597円(Aさんの生年月日による額)
あと、Aさんは住民税非課税世帯であり、65歳以上で、所得基準額が公的年金+前年所得≦789,300円(令和6年10月から令和7年9月までの基準額)なので令和元年10月から年金生活者支援給付金も支給とします。
◯令和元年10月からの年金生活者支援給付金→5,450円(令和7年度基準額)÷480ヶ月×(87ヶ月+74ヶ月)+11,518円(令和7年度免除基準額)÷480ヶ月×78ヶ月=1,828円+1,872円=3,700円(年額44,400円)
よって、年金総額は老齢厚生年金142,571円+老齢基礎年金323,081円+振替加算90,597円+給付金44,400円=600,649円(月額50,054円)
さて、Aさんは65歳過ぎても任意加入をした事で300ヶ月を満たしたために年金を受給する事ができるようになりました。まあ、そこそこカラ期間があったから良かったですね。
それにしてもこれによる恩恵は自分の年金を貰えた事だけなのでしょうか。
実は300ヶ月を満たしている事で、もしAさんが死亡した場合は遺族厚生年金も発生する事になります。
金額としては老齢厚生年金142,571円÷4×3=106,928円程度ですけどね…。
なお、遺族厚生年金額を超える老齢厚生年金を妻が受給している場合は妻が受給できる遺族厚生年金は存在しません。
例えば妻の老齢厚生年金が6万円なら、差額の46,928円を遺族厚生年金として受給できます。
しかし妻の老齢厚生年金が20万円とかなら、遺族厚生年金を超えているので差額が発生しないために遺族厚生年金は貰えません。
4.なぜ過去に国民年金は在日外国人を排除していたのか
ところで、在日外国人だった期間はどうして国民年金に強制加入も任意加入もさせて貰えなかったのでしょうか。
当時は昭和36年4月から昭和56年12月31日までの期間は国民年金には国籍要件があったからです――(『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2025年5月28日号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方はご登録の上、5月分のバックナンバーをお求め下さい)
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