探偵と言えば、尾行や情報収集のプロフェッショナル。しかし、その探偵をも唸らせる存在があります。それは『依頼者の執念』。今回のメルマガ『探偵の視点』では現役探偵の後藤啓佑さんは、自身が経験した依頼者さんの執念について語っています。
探偵よりすごい!依頼者の執念
探偵の調査能力と依頼者の執念。
最終的にどちらが勝るかと問われれば、僕は‘’依頼者の執念‘’に軍配が上がると思います。
もちろん、尾行や撮影、ロジックの組み立てといった技術面では、探偵の方が圧倒的に上です。
ですが、依頼者さんの「執念」には、時に探偵では到底真似できない力を感じることがあります。
「しらみつぶしの執念」
例えば、旦那の浮気相手が風俗嬢で「東海3県のどこかの店舗に勤めている」という情報だけがあったケース。
僕たち探偵であれば、ネットワークや張り込み、尾行などの技術を駆使して特定を進めます。
しかし、ある依頼者さんは違いました。
なんと東海3県すべての風俗店のネット情報を一軒ずつ確認・分析し、最終的に特定してしまったのです。作業には1ヶ月ほどかかったそうですが、やり遂げた人が過去に数人います。
上記は、たまたま対象人物の顔写真を入手しており、HPでも顔出し(かなりぼやけていましたが)していたケースでした。
ここで驚くのは「時間を捧げたこと」そのものよりも、“出てこないかもしれない”という懸念を振り切って行動し続けたことです。
人は「やっても意味がないんじゃないか」という考えに支配されると、途端に行動が鈍ります。それを振り払い、黙々と作業を続けられるのは、まさに執念の力です。HPで顔出ししていなければ、見つけられなかったわけですからね。
「SNS解析の執念」
また、別の依頼者さんは、浮気相手の女性のインスタグラムを徹底的に調べました。友達数百人分の投稿をすべて照らし合わせ、対象者の過去1ヶ月の行動表を自作してきたのです。
相談の場に持ってきたその資料を見たときは、本当にびっくり!
数時間の作業では到底不可能で、2~3週間かけて毎日取り組んだのではないかと思います。正直、怖さすら感じるほどの執念でした。
探偵は仕事として動いています。与えられた報酬と時間の中で、最も効率的に結果を出さなければなりません。
一方、依頼者さんにとっては一世一代の勝負。人生をかける覚悟が行動に宿るのだと思います。
だからこそ、数年に一度出会う「執念ある依頼者さん」に触れると、人間の持つエネルギーに圧倒されます。
「執念」は、技術や知識を超えた、最強の行動のモチベーションなのかもしれません。
この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com









