狂乱の日経と読売、腹をくくった『サンデー毎日』。“石破おろし”をめぐって真っ二つに割れるマスメディアの暴論正論

 

「私、石破首相の味方です」と腹をくくった『サンデー毎日』

これに対して、表紙に堂々と「私、石破首相の味方です/自民党の右傾化を阻止せよ」と大書し、田中優子、鈴木宗男、船田元、中森明夫の「緊急表明」を特集したのは『サンデー毎日』の先々週8月31日号。同誌は先週9月7日号でも「『石破続投』は可能か/『裏金問題』追及し自民党蘇生を」と、田原総一郎、金子勝、山崎拓らのインタビューを載せている。

詳しくは両冊を熟読してほしいが、私が感心した1つは中森のシャッキリとした石破擁護論である。彼は言う。

▼実は石破茂は今、いちばん輝いているのではないか。苦境にはあるが、彼らしさを発揮している。広島、長崎の式典では非核と平和に向けた心に残る人間主義の演説をし、戦没者追悼式では「戦争への反省」を強調。国会ではれいわの新人・伊勢崎賢治と日米地位協定をめぐり実りある議論を交わした。路上には数次にわたり「石破辞めるなデモ」が現出して、国民の支持で立つ石破という本来のあり方に回帰している。あとは戦後80年談話をどう出すか。

▼石破は、自民党と戦後政治が事実上終わり、トランプ米国が法外に振る舞い、戦争と混迷が迫り来るという歴史的転換点を背負っている。危機に力を発揮する、そういう運命なのだ。

▼石破退陣後には、排外主義、極端な右傾化、政治腐敗の復活などを含めた、かつてない混沌が待つ。今の石破の闘いは、保守政治を次代に少しでも真っ当に手渡したいという思いからだろう。それは支持したい。……

ちょっと褒めすぎのようにも思うが、今の局面の意味を的確に捉えている。もう1人は山崎拓=元防衛庁長官。

▼麻生太郎氏ら自民党有力者の中で「台湾有事は日本有事だ」と煽り、台湾有事が起これば自衛隊が防衛出動するかのように主張する人たちがいるが、仮に中国が台湾に侵攻しても日本が直接武力攻撃を受けたわけではないので自衛隊は出動できないし、集団的自衛権の発動といっても、日中間の取り決め、文書で台湾を国として認めていないのが実態だ。

▼〔しかし〕米軍が台湾を守るために在日米軍基地から出動すると、中国は必ず米軍基地にミサイルを撃ち込む。日本の領土である米軍基地が攻撃されれば日本が攻撃されたと同じなので、日本は自衛権を行使、中国との戦争に突入する。だが、中国との戦争は日本に壊滅的打撃を与える。何が何でもこれを避ける。それが当面の日本の最大の安全保障問題だ。

▼彼は当初からそれを見据えた人事をしてきた。中谷元・防衛相や岩屋毅・外相ら防衛相経験者を枢要ポストにつけたのも、森山裕幹事長を日中議連会長に就任させたのも、〔本誌が勝手に付け加えれば、同議連前会長の林芳正を官房長官に据えているのも、〕すべて台湾有事を起こさせないための布陣だ。それが日本の国益だ。

▼自衛隊を無条件で台湾海峡に出動させようとする人を総理総裁にするわけにはいかない。石破氏に続投してもらうしかない。……

全面的に賛成である。

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