「金魚の死を悲しむ4歳児と同レベル」のトランプと「奈良の鹿を蹴る外国人がいる」のデマ流す高市。無責任政治家が煽るナショナリズムと社会の分断

 

分断と恐怖で支持固めを図るトランプの危ういメディア戦略

まだ犯人が誰だか分からない時点で「過激な左派による犯行」と吹聴したトランプ大統領を見れば明らかなように、トランプ大統領は分断を煽ることで自身の支持者を拡大して来ました。

今回も、亡くなったチャーリー・カーク氏に勲章を与えるなどの特別な計らいを行なう一方で、タイラー・ロビンソン容疑者を「過激な左派」と決めつけることで分断を煽り、自身の支持者をより強固にしようと企んだことは明白です。ジミー・キンメル氏もそれを見透かしていたため、15日の放送では、事件の2日後、12日のトランプ大統領の記者とのやり取りを紹介しました。

この日、ホワイトハウスの前で記者から「友人のチャーリー・カーク氏を亡くされお悔やみ申し上げます。ここ1日半、いかが過されていましたか?」と質問されたトランプ大統領は、満面の笑みで次のように答えたのです。

トランプ大統領 「極めて順調だ。ところであそこにトラックが見えるだろ?あれはホワイトハウスの新しい宴会場の建設工事を始めたところなんだ。150年前に計画されたのに今まで着手されなかった。それを私が実現するのだ。素晴らしいものになるぞ」

カーク氏のことなど眼中になく、新しい宴会場のことで頭がいっぱいのトランプ大統領。このやり取りを見ただけでも、これまでカーク氏を讃えたり大袈裟に悲しんだりして来たのは分断を煽るための演出であり、実際はカーク氏のことなど何とも思っていなかったことが良く分かります。そして、このやり取りを紹介したジミー・キンメル氏は「これでは金魚の死を悲しむ4歳児と同じレベルだ」とトランプ氏を切り捨て、スタジオの笑いを誘いました。

すると、この15日の放送のわずか2日後の9月17日、22年間も続いて来た人気番組の突然の打ち切りが発表されたのです。トランプ大統領はすぐさま自身のSNSに「アメリカにとって素晴らしいニュースだ。低視聴率のジミー・キンメル・ライブが打ち切りになった。勇気を出してやるべきことを実行したABCを祝福する」と投稿しました。そして、次の投稿を続けたのです。

トランプ大統領 「キンメルは才能がゼロだ。コルベアよりも視聴率が悪いかもしれない。残るはフェイクニュースのNBCにいるジミーとセスの2人の完全な負け犬だけだ。彼らの視聴率もひどい。NBCよ、やれ!!!」

ちなみに「コルベア」とは、すでにトランプ大統領の圧力によって2026年5月の終了が決定しているCBSテレビ『ザ・レイト・ショー』の司会をつとめるコメディアン、スティーブン・コルベア氏のことです。また「ジミーとセス」とは、NBCテレビでそれぞれ冠番組を持つコメディアン、ジミー・ファーロン氏とセス・マイヤーズ氏のことです。この人たちは全員、トランプ大統領に批判的な論調を売り物にして来ました。

つまり、以前から自分に批判的な番組を持つテレビ局の放送免許を剥奪しようと画策して来たトランプ大統領が、とうとう実際に動き始めたわけです。そして翌18日、トランプ大統領はこんなことを言ったのです。

トランプ大統領 「多くの深夜のトーク番組が私を叩いているが、私に批判的なテレビ局は民主党の手先だ。放送免許を受けていながら私を叩くなど許されない。こうしたテレビ局には放送免許の取り消しを検討すべきだ」

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