一方で、こうした研究は「無駄」と思う人がまったくいないわけではありません。
大学法人化以降、今の日本の大学は、すぐに成果が出るものばかりを求めるようになりましたし、研究費(科研費など)もそうした分野に集中しています。
「選択と集中」という名のもとに、すぐに利益に繋がらない基礎研究は、どんどんやりづらくなっているのです。
にもかかわらず、日本人がこれほどまでにイグノーベル賞を頻繁に受賞するのはなぜか。
ひとことで言えば「職人魂!」です。
数は減ってしまったものの、こうした社会の流れに逆らい、純粋な知的好奇心と研究者の職人魂を大切にする研究室の伝統が、まだ日本の大学には残っているからです。
論文の数や特許といった目に見える成果ではなく、「面白い!」という心の声に耳を傾け、腹の底から真面目に黙々と研究を続ける職人たち。その地道な姿勢を評価するのもイグノーベル賞です。
バナナの皮がどれだけ滑るかという研究や、犬の気持ちを翻訳する「バウリンガル」のようなユニークな発想も、世間に決して流されない、「私」の知的好奇心が源になっているのです。
イグノーベル賞は、私たちが当たり前だと思っていることに「本当にそうかな?」と問い直すきっかけを与えてくれます。それは、短期的な成果を追い求めるあまり見失いがちな「科学の面白さ」を思い出させてくれる、大切なメッセージです。
あなたの身の回りにある「どうでもいい」ことの中に、もしかしたら、未来を面白くするヒントが隠されているかもしれません。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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