「再生の道」の場合は、AIを補助役ではなく主役にしようという試みだ。もちろん、すぐにできるわけはない。候補者を立てる予定の東京都・葛飾区議選や清瀬市長選では「AIペンギン」の構築が間に合わないので、人間が決定を担う。しかし中長期的には、AIが選挙などについての基本方針を定めるようになるという。
こうした「再生の道」の新しい動きについて、石丸氏は「(代表を)辞めてよかった」と語る。「なぜならば、私1人だと、思いもよらなかったアイデアが、そこで語られていたからです」。
「再生の道」は、首長と議会の二元代表制である地方の議員選挙で政策を掲げる必要はないという石丸氏の考え方のもと、政策ゼロで東京都議選にのぞんで全員が落選。参院選にもあえて「教育」だけに政策を絞り込む常識外れの戦略で挑んだが、これも一人として当選者を出せなかった。もしその方針決定に「AIペンギン」が参加していたら、選挙で勝つための「最適解」を示してくれたかもしれない。
石丸氏はおそらく2028年の東京都知事選に立候補するだろう。そのさい「再生の道」に復帰して再チャレンジするなら、そのころには「AIペンギン」が頼りになる“党代表”に育っている可能性も…。
歴史を振り返れば、火薬、核兵器、インターネットといった技術革新は、必ず「支配や戦争の道具」として利用されてきた。AIも例外ではない。
「自分だけの利益」を追求する誘惑にかられた権力者がそれを利用し、監視国家・軍事支配を強化するかもしれない。巨大IT企業がそれを独占し、政治・経済の意思決定を支配、民主主義が骨抜きになるかもしれない。
AGIの先の未来には、AIが人間を超える知性を獲得する転換点「シンギュラリティ」(技術的特異点)がやってくる。そうなるとAIを制御できるのは限られた個人や組織に集中し、独裁者による「悪の帝国」が人類を支配する恐れが高まるだろう。人間はそんな未来に賢く対処できるよう、今からしっかりと備えておかねばならないのだ。
ともあれ、日本の政界にもようやく本気で「AI」に取り組む動きが出てきたのは歓迎すべきことだ。「チームみらい」にせよ「再生の道」にせよ、政治勢力としてはまだまだ未知数だが、“ファーストペンギン”として、永田町の常識にとらわれない行動を起こしてほしい。
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