調査の事前に「説明」など受けていなかった被害者サイド
基本中の基本を、忘れないように、文科省はガイドラインを理解できない調査主体対象となる教育行政に向けて、わかりやすく丁寧に、記載したのでちゅ、(←赤ちゃん言葉)に過ぎない。
つまり、被害側は調査の事前に、この説明は受けておらず、意見する間もなく、勝手に調査が進められ、調査委員の1人には調査中は一度も会うこともなかったし、提供した証拠類はことごとく採用もされなかったし、肝心の加害者への調査など重要なはずの調査が行われなかったと主張した。
一方、田内市長は、調査は適法に行われたと主張したわけだ。
被害保護者と市教委の担当者との「録音データ」の内容
全てを書くと恐ろしく長くなるので、意見対立の主題を、この6項目説明にのみ絞ろう。
実際、被害保護者が情報開示請求によって取り寄せた資料の大半は、この6項目説明について、市側が「やりました」という資料になっている。
着目すべきは、この第三者委員会がいつ発足し、第1回会合をいつやったかだろう。そもそも、この6項目説明は調査の事前に行わなければならない。
第三者委員会の報告書によると、令和3(2021)年4月19日付、被害保護者の申し立てを受け、令和3年11月16日に第1回の委員会開催を行ったとされている。
一方、市側が開示請求で出した資料には、令和3年10月15日にほとんどの説明はしましたということになっている。
私の手元には、この令和3年10月15日、被害保護者と湖西市教育委員会の担当者が面会して話した内容の録音データがある。
会話は僅か14分33秒。内容は、ほとんど、被害保護者から、ちゃんとやってくれという内容で、市教委の担当者は第三者委員会をやりますよという漠然とした内容だ。
武士の情けで、この担当者2名の名前は明かさないが、「エアコンをつけましょう」「窓開けても暑いんで」から始まる会話をした担当者は自分自身でよくわかるだろう。あの日の録音はしっかり残されており、自分たちが適当に説明しましたとした報告書は嘘であることを容易に裏付けることができるのだ。
被害保護者 「事前にちゃんとそういうことを話さなきゃいけないっていうあのガイドラインとかに書いてあったから、いいの?って言った」
担当者A 「これから調査委員会はじまるにあたって、最終的には何を調べるかは調査委員会の方でね、決定して多分またお知らせする形になると思うんですけど。今回いよいよ始まるにあたって、概要説明っていうかね、委員の皆さんにするにあたって…なので、あの日にたとえば、あそこで蹴られたとかそういうことじゃないですか」
つまり、この段階では職能団体に委員の推薦を依頼している段階で、まだ調査構成は決まっておらず、被害側はガイドラインの説明はしなくていいのか?と言っており、担当者は調査委員に概要を説明するからその内容を決めたいと話している。この概要説明の理由は、調査する対象を調査委員に決めてもらうからということだから、6項目中の1項目はそもそも説明すること自体がすっぽり抜けているのである。
ちなみに、6項目説明は調査主体が行うとされており、調査主体とは「教育委員会」なのである。
私は他の自治体などで第三者委員の経験があるが、通常、事務局から第三者委員会を設置するにあたって6項目説明が被害側にも加害側にもあり、第1回会合では、委員長(座長)、副委員長の選任を行い、改めて事案の確認から調査の大まかの計画等を決める。また、被害保護者には、再度調査委員から6項目の説明をする場合もあるし、確認程度にして調査追加事項について聞くこともある。
これを大半雑談の14分で説明することは、テレパシーでも使えなければ不可能である。
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