世界のメディアも「中国と戦争をしたがっている過激な極右政治家」と危険視する高市首相の支持率が上昇してしまう日本のバカさ加減

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いわゆる「裏金議員」を多く登用し、国益の損失に直結しかねない「台湾有事は存立危機」発言で大きな物議を醸している高市首相。そんな中にあって、内閣の支持率が「発足直後より上昇する」という異例とも言える現象が起きています。その理由はどこにあるのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、この「摩訶不思議なイリュージョン」の背景にある世論調査の構造や国民心理のねじれを分析。その上で、「高支持率」の裏にありそうな疑念を記しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:高市内閣の支持率イリュージョン

ご祝儀相場のはずが2回目で謎の上昇。高市内閣の支持率イリュージョン

10月21日、日本初の女性首相である高市早苗内閣が発足しましたが、発足直後に実施された各社の全国世論調査では、軒並み高い内閣支持率が示されました。最高値は産経新聞の75.4%、最低値はANNの58.7%、平均は68%でした。これだけでは高いのか低いのか分かりませんが、第2次安倍内閣が平均54%、菅内閣が平均62%、岸田内閣が平均58%、石破内閣が平均49%というそれぞれの発足時の支持率と比較すれば、今回の高市内閣の高さが分かると思います。

しかし、これは「まだ何もしていない状況」で実施された世論調査の結果ですから、すべては単なる「期待値」なのです。その上、新しい内閣の発足直後の世論調査は、一般的に「ご祝儀相場」と言われており、少し高めの内閣支持率が示されることが通例です。さらに今回は「日本初の女性首相」という大前提によって、プラスアルファの「期待値」や「ご祝儀」が上乗せされていると考えられます。

内閣発足直後の世論調査は、こうした背景による「盛られた数字」なので、本当の民意が分かるのは、翌月に実施される2回目の世論調査からだと言われています。2回目は「ご祝儀相場」でなくなるため、高い支持率でスタートした内閣も低い支持率でスタートした内閣も、2回目は1回目より支持率が落ちるのが普通なのです。

それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…と、思わず五七五で驚いてしまいましたが、内閣発足から3週間が過ぎた11月15、16両日に実施された各社の2回目の全国世論調査では、なんと高市内閣の支持率は上昇したのです!

まず、10月の内閣発足直後の調査で58.7%と最も低かったANNは、今回の2回目の調査では67.5%、8.8ポイントも上昇しました。1回目の調査で64.4%だった共同通信も、2回目は69.9%、5.5ポイントも上昇したのです。朝日新聞は、1回目が68%で2回目が69%と1ポイントのみの上昇ですが、これはもともとが高かったからでしょう。

いずれにせよ、「まだ何もしていない状況」で実施された1回目の世論調査より、ある程度、動き出してからの2回目の世論調査のほうが内閣支持率が高くなるなんて、これは異例中の異例です。

で、2回目の世論調査までの3週間で高市首相が何をしたのかと言えば、来日したドナルド・トランプ大統領にコビを売りまくり、招かれた米空母ジョージ・ワシントンの上ではしゃいで奈良公園の鹿のようにピョンピョン飛び跳ね、トランプ大統領への手土産として農水大臣から防衛大臣に横滑りさせた小泉進次郎氏に「倍増させた防衛費の前倒し」を約束させました。そして、国会では「台湾有事」を巡る「存立危機事態」に言及して中国にケンカを売ったのです。

これを受けて中国政府は日本への渡航を控えるように自国民に呼び掛けました。野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、このまま日中関係がこじれたままであれば、日本のGDPは0.36%押し下げられ、経済的損失は2兆2,000億円に上ると試算しました。

事実、2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化した際にも、怒った中国政府は日本への経済制裁として同様の呼び掛けをし、その結果、中国からの訪日客が前年比25.1%も減少し、インバウンドの消費が2兆2,124億円も減少したのです。

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