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清朝の正規軍ではなかった「日清戦争」の相手

では、その前の日清日露についてはどうかというと、既に説明したように朝鮮半島が欧州列強の軍事要塞になることは、そのまま西日本への侵攻を呼び込むという認識は、今から考えても否定できないと思います。勿論、現在の視点からは誇り高い韓民族のプライドを壊すことによるリアクションのリスク作った反省は必要です。

とりわけ、「勝ったら朝鮮半島の体制を決める一定の責任が生じる」ことが分かっていながら、その体制に関する最適解を持たずに戦勝という状況まで突っ走ったというのは、日露戦争最大の問題と言えるでしょう。

一方で重要なのは日清戦役への評価です。サンフランシスコ講和により台湾を返還したことで、まるで日清戦争自体が帝国主義戦争のような認識が広まっています。それどころか、陸奥宗光と川上操六が好戦論に毒されて暴走したとか、穏やかな明治帝を騙して開戦したなどというダークなイメージも広まっています。

ですが、日清という戦役については、明確にしておかねばならない点が3つあります。1つは、これは朝鮮半島に対する清王朝の「宗主国ステイタス」を除去するという明確な戦争目的があったということです。どうしてかというと、李王朝の朝鮮はその成立の経緯からも、また前の高麗王朝の経緯を継承したということも含めて、清朝に対する朝貢国だったからです。

その限りにおいては、朝鮮は外交自主権も、武装自主権もなかったのです。では、清朝が半島防衛に責任を果たしていたかというと、そうではなく朝鮮半島全体は力の空白になっていました。これは、日本の存立に関わる大問題で、だからこそ、明治期には征韓論の検討があり、それを大久保が却下した上で、江華島条約を契機として朝鮮の開国などへ動いていたのでした。その仕上げとして、宗主国清朝の影響力の除去ということが必要でした。

とにかく、半島全体における力の空白がある限り欧州列強がここに勢力を伸ばすリスクは残ります。そして、これはダイレクトに日本の存立を脅かすわけで、だからこそ、宗主国清朝の除去が必要だったのです。

2つ目は、戦役の相手は清朝正規軍では「なかった」ということです。

勿論、当時の清朝の「正規軍」というのは、満州八旗など貴族化して形骸化した武士階級であり、全く役に立たないものでした。具体的には太平天国の掃討において、機能しなかったのです。そのため、当時の清朝の西太后政権としては、民兵組織である曽国藩が作り李鴻章が継承した北洋軍を使うことになったのでした。実は、日清の戦役で日本が戦ったのは清朝の正規軍ではなく、この北洋軍だったのです。

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