中国が主張する「琉球は先住民族」の大ウソ。沖縄が日本であり琉球人は日本人である“動かぬ証拠”

 

日本を憎むことなどなかった中国の若者たち

3つ目は、この北洋軍が日本に敗北したわけですが、その結果として前途ある当時の中国の若者達は「日本を憎む」ことはしなかったという事実です。それどころか、腐敗し遅れた清朝ではなく、近代化を進めていた日本を尊敬し、日本に留学したのでした。その代表が例えば作家の魯迅です。魯迅は中国の遅れた前近代性を暴き、毛沢東がこれを称賛したことが、共産党の文化面でのアイデンティティを形成しています。

ですから、中国における正統的な歴史認識があるとしたら、21か条以降の日本の活動は悪となりますし、日露戦争の結果の満州進出も批判の対象になるのは当然だと思います。ですが、日清戦役の経緯については、むしろ北洋軍が敗北し、西太后政権が崩壊することで、やがて辛亥革命が成立するというストーリーの中で評価がされるべきものです。

近年の党中枢あるいはその周辺における発言は、明らかにこのラインを崩しにかかっています。具体的には、中国の国力がつくと同時に、清朝の版図が誇らしかったり、特に乾隆帝の統治まで美化されるという歪曲が始まっていますが、それと同様の問題であり、厳しく論争が必要であると思います。

ちなみに、韓国の歴史認識としては、日露戦争と日韓併合に関しては屈辱の歴史という評価一本です。ですが、日清戦役の結果、清朝の宗主国ステイタスが外れたことで、朝鮮王朝の李王国から「大韓帝国」に変わったこと、そしてこれが真の独立だといういうことで、パリの凱旋門を模して独立門が作られたことについては、肯定的な評価があります。このことも、日本ではもっと知られるべきファクトだと思います。

韓国の話はさておき、日清戦争への評価というのは、中国近代化の中では北洋軍や西太后政権の問題とともに語られるべきです。また、近代化の遅れを自覚するという問題が非常に大切であって、だからこそ戦敗に目覚めた魯迅などの若者が日本を目指したのです。他でもない孫文も日本に依拠した時代がありました。ですから、30年戦争への評価の延長で、あらゆる日本の行動は悪であり、日清戦争も同じように「悪どく悔しい歴史」だというのは、いくら何でもひどすぎます。

21か条要求以降の経緯については、「日中ともに日本軍国主義を批判」するのでいいと思いますが、流石に日清戦役の経緯まで「悪しき日本帝国主義」に包括されてしまっては、東アジア近代化の歴史の全体像が歪んでしまうと思います。

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