「今が支持率のピークかもしれぬ」高市首相を“大義なき衆院冒頭解散”へと駆り立てた不安と焦燥

 

首相に早期の解散総選挙を決断させた国内外の要因

昨年11月に自民が極秘に行った情勢調査では、いま総選挙をすれば自民だけで260議席を超え、単独過半数を奪回できるとの結果が出ていた。「高い支持率のうちに信を問うのが得策だ」。党内で主戦論が盛り上がった。

自民党の山田宏副幹事長は昨年12月9日公開の「Web Voice」で、こう語っている。

「年初に通常国会を召集したら即解散すべきだと考えています。衆参いずれも過半数割れしている現在の状況で通常国会に臨むのは、日本の政治にとって得策ではありません。選挙を通じて自民と維新という連立政権への支持を得ることができれば、政治を前に進めやすくなる」

山田氏は総裁選で推薦人になるなど、高市首相の同志ともいえる保守派の政治家だ。むろん、早期解散を勧めてきた一人である。

支援者たちの期待が高まる中、高市首相が大いに迷ったであろうことは想像に難くない。政策を重視する自分が、党利党略、自己都合そのものといえる「七条解散」を強行していいものかどうか。少なくとも1月23日に通常国会を召集する日程を決めた昨年12月25日の段階では、決心がつかないままだったはずである。1月23日からだと、新年度予算を3月末の年度内に成立させるためには総選挙を行う時間的ゆとりがないからだ。

年末年始、高市首相は公邸にこもった。「今が支持率のピークかもしれない」という状況は、不安をかきたてる。通常国会がはじまると、野党は待ってましたとばかり統一教会問題や維新の「国保逃れ」を追及して、連立政権に揺さぶりをかけるにちがいない。

外交面でのショックも大きい。トランプ大統領が「モンロー主義」ならぬ「ドンロー主義」と称し、ベネズエラで軍事作戦を強行して石油利権を中国から奪回。中国やロシアの支配が及ばぬよう、デンマーク自治領のグリーンランドにも「領有」の食指を伸ばして、西半球(南北アメリカなど)だけは他国に触らせない体制を確立しようとしている。

トランプ大統領は米中を「G2」と呼び、招待に応じて4月に中国訪問を予定していることから、「高市首相はハシゴを外されるのでは」と心配する声さえ出ている。中国は日本向けレアアース輸出制限をちらつかせるなど高市政権攻撃をエスカレートさせており、米中会談の前に高市首相が訪米しトランプ大統領とどのような話をするかが、外交上の勝負どころとなるだろう。

このように考えると、一刻も早く総選挙を行って政権の基盤を固めておくのが得策という高市首相の思惑が透けて見えてくる。

高市首相の決断の背景にあるもう一つの問題点は、日本維新の会との連立の不安定さだ。維新は閣僚を出さず、衆院議員定数削減という難題を連立の絶対条件として押しつけてきている。いつ連立から飛び出さないとも限らないのだ。

社会保障改革を謳う維新の兵庫県議らが、本来は国民健康保険に加入すべき立場でありながら、仕事の実態のない一般社団法人の理事に就いて、国保より負担の少ない健康保険に乗り換えていた実態も、国民の怒りを買っている。

この記事の著者・新 恭さんを応援しよう

メルマガ購読で活動を支援する

print
いま読まれてます

  • 「今が支持率のピークかもしれぬ」高市首相を“大義なき衆院冒頭解散”へと駆り立てた不安と焦燥
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け