再生する街角、消えない戦争の痕跡。ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボの現在を歩く

 

この市場で果物や野菜を売っている「おじさん」「おばさん」が攻撃にさらされ、市場には目を見開いたまま、口を開けて悶絶したまま亡くなった方々の遺体が横たわる─。

この映像はいつか、日本で見た記憶があったが、今回は戦争犯罪を伝える博物館で、その一部始終を見ることが出来た。

今も街に活気を与えている、市場で、今、私が通ってきた場所で悲劇があったことに、戸惑いと町が再生するという行為の切なさを覚える。
サラエボ市街地には2つの内戦に関する博物館がある。

「戦争の中の子ども博物館」と「人道に対する罪と虐殺に関する博物館」。

博物館といっても建物の一画を展示室に設えて内戦で亡くなった人の遺品や手紙を展示し、また虐殺が行われた様子を図解などで解説し、映像では証言者のインタビュー、虐殺行為の場面を紹介している。

マルカレ市場の展示は後者の博物館のもの。

またセルビア人勢力がボシュニャク人の村で虐殺し、遺体を2人のボシュニャク人に運ばせている場面、最後にその2人も銃殺されるという、その映像には人間の残忍さに、胸が締め付けられる。

人はなぜそれほどに残忍になれるのだろうか。

これまで文章で読んできた虐殺が、映像として、それも遠くない過去のものとして、そしてこの場所で起こったことである。

悍ましく、愚かである、と捨て置けず、冒頭の「PTSD」であるサラエボ市民はこれらの過去を忘れようとしているのか、どのようなメンタリティで克服しようとしているのだろうか。

この答えは難しいものの、メディア研究を通じて普遍的なコミュニケーションとケアの問題として今後、分析してみようと思う。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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