中国は一体どこへ向かおうとしているのか?全人代の「政府活動報告」から読みとく“次の5年”

 

問題の中心は繰り返しになるが不動産市況の低迷と個人消費の湿りである。

対策で注目されるのは昨年末の中央経済工作会議で打ち出された8大任務の中の「内需喚起」策だ。「消費押し上げ特別行動を踏み込んで実施する」と「報告」でも記されてある。

そのキーワードは、「改革措置とマクロ政策との連携を強化すること」。「報告」では、「消費分野の不合理な制限措置を撤廃」し、「引き続き適度な金融緩和政策を実施する」とある。今年も「相当規模の財政支出が維持される」ということだ。

具体的には、例えば「個人向け消費ローンとサービス業経営主体向けローンの利子の補給に1000億元が充てられる」ことなどだ。

その上で学生から労働者まで休暇取得を奨励し、サービス消費の拡大を目指し、インバウンドをさらに発展させるという。

つまり信用を拡大して余暇を増やすことで消費を喚起したいのだ。

また昨年以来の「買い替え支援策」も引き続き継続し予算が充てられる。

こうした政策を実行するための財源や地方財政の立て直しのために、いくつかの税金に対して調整が加えられるという。

太陽光パネルの輸出に対する付加価値税の還付を廃止し、バッテリーの付加価値税の還付も9%から6%に削減した上で、段階的に廃止する。さらに高賃金労働者や個人の海外収入に対する監視も強化されるという。

財源の問題を抱えるのはどの国も同じだが、資金が長期戦略に的確に投じられ、見事に成果と結び付けられてきたのが中国のこの数十年だ。具体的にはEVや新エネルギーでの成功だ。

そうした視点から見た「報告」の注目点は、何といっても「15・5」である。

次の「15・5」では量子技術、エンボディドAI、ブレインマシンインターフェス(BMI)、6Gなど「6大未来産業」の発展が中心となると考えられている。

「報告」では、こうした先端技術で勝ち続けるために「社会全体のR&D費の伸び率を年平均7%以上とすることを提起」と記された。人材育成も従来以上に力を入れることが示されている。

つまり新エネルギー車やロボット、人工知能(AI)で目覚ましい進歩を遂げた「14・5」の勢いを、今後5年間も進んでゆくという強い意思が伝わってくるのだ。

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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