東日本大震災から15年。あの日、駅のホームに大きな破片が落ちる中で思った「私、死ぬかも…」

 

「ねえちゃん、どうした?」

講演会の担当者の携帯を鳴らすもつながるわけもなく、駅に戻るしかないと、再び駅に向けて歩き始める。

すると、「ねえちゃん、どうした? 東京から来たのか?」と、バスの運転手と思われる男性に声をかけられた。

「はい、どうしよう…」と、私は半べそ状態で答える。

「困ったなぁ~。さっき警察から連絡があって、道路は寸断されてるし、あっちこっち通行止めになってるから帰れないぞ」と運転手さん。

「でも、東京に帰りたい。ここにいても誰も知った人がいないし……」「今だったら、まだタクシーが動いているから、早く見つけて行けるところまで行くしかねえなぁ。あっ、あそこにタクシー走ってるけど、乗ってるな。あそこまで行けばつかまるかもしれないから、行ってみな」と駅前の大通りの角まで連れていってくれた。

タクシーが来なくても、東京方面の車が通ったら乗せてもらおうと思うのだが、全く来ない。いったい何分待っただろうか。やっと空車のタクシーを発見し、大きく手を振る。「東京までは行けないけど…、土浦かどっかまで行こう。乗りな」と運転手さん。

真っ暗闇の国道6号を南へ

国道6号を走り続けるのだが、道は陥没し、余震で道路脇の店舗の外壁は崩れ落ち、バス停が一気に陥没し、橋が落ちた。大渋滞で3キロ進むのに5時間を要し、停電で車のライト以外真っ暗闇だった。連絡の取れた事務所のスタッフが「土浦も停電で機能がストップしているから、つくばに向かった方がいい」とメールをくれたので、つくばに向かう。

何時にたどり着くか分からない中、タクシーの運転手さんは私に話しかけてくる。「墓が崩壊してるな」「店も倒壊しているぞ」「東京もパニックだな」「病院がある。電気ついてるな」「花粉症みたいだね。そこにティッシュあるから」などなど。そうなのだ。こんな緊急事態に情けない話なのだが、鼻水が止まらない。目がかゆくてコンタクトが曇るのだが、眼鏡を持っていないのではずすわけにもいかず。止まらぬクシャミで最悪だった。

そんな私を気遣って、タクシーの運転手さんは、たわいもない話題を、無理やり話しかけるわけでもなく、ただただ声に出し続けてくれた。

そして、午前3時。つくば駅横のホテルにやっと到着。ロビーが開放されていたため、運転手さんにお礼を言って別れた。

たったひと声が人を救う

「家に帰れる」──。

駅のホームで、階段で、改札の外で、途方にくれて立ちすくむ私に、「声」をかけてくれた人たちのおかげで、私はなんとかつくばにたどり着いた。

声をだす。簡単そうでなかなか難しい。でも、たったひと声出すだけで、「人」を助けることができる。途切れそうな気持ちがつながるのだ。

勇気を出して声を出す。声を出すことの大切さを、初めて感じ取った経験だった。

みなさんの「あの日」の経験、お聞かせください。

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