トランプ暴走で米国凋落も、習近平が「覇権の椅子」を蹴った驚愕の理由

 

中国は「覇権の椅子」に興味がない

これらの事実を前提として話を進めたいと思うのだが、結論を急げば中国はアメリカが放棄した「覇権の椅子」に座るという意味でのパクスチャイナにはほとんど興味を持っていないのだ。

結論を先に言ってしまえば元も子もないように思われるが、そうではない。

多くの日本人は「中国にそんな野心がない」といったところで、素直に「そうか」と納得できるはずはないからである。

だからゆっくりと理由を説明してゆきたいのだが、まず押さえておきたいのは、中国がパクスチャイナに野心を持っていたとしたら、すでにそのチャンスは何度も訪れていたということだ。それなのに、中国は応じなかったという事実がある。

加えて、中国自身がすでにポスト「パクスアメリカーナ」なのか、「戦後秩序が崩れた後の世界」なのか、そうした未来を見据えて、次の秩序の在り方について明確に提案を行っているという点が挙げられる。

トランプ大統領の「G2」提案を中国は拒否した

前者をより具体的に述べれば、それはアメリカからの「G2(米中で世界を動かすこと)」の提案だ。

2026年10月末の米中首脳会談の直前、ドナルド・トランプ大統領は自身のSNS(トゥルース・ソーシャル)で、「G2が間もなく開催される!」と書き込んで話題となった。

この半年ほど前、米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』は、米中ロの関係を「大国間共謀」と表現したが、まさに世界は大国だけが自国利益を好き勝手に追求する悪夢の時代に陥る。そんな想像が世界を駆け巡った。

では、中国はこのトランプ大統領の呼びかけに応じたのだろうか。

答えは「No」である。

定例会見で質問を受けた外交部の報道官は以下のように答えている。

「中国は終始一貫して独立自主の平和外交政策を堅持している。最大の発展途上国、非同盟運動のパートナー、そして『グローバル・サウス』の一員として、中国は常に多くの発展途上国の側に立ち、真の多国間主義を実践し続け、各国と共にWTO(世界貿易機関)を中核とする多国間貿易体制を維持し、『国連憲章』と国際関係の基本準則を遵守し、平等で秩序ある多極化した世界と、普惠的で包摂的な経済のグローバル化を推進し、世界により多くの確実性と安定性をもたらしてゆく」

なぜ、こうした回答になったのか。次号ではさらに詳しくその理由に触れてゆきたい。(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2026年4月26日号より。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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