日本はイランや中国とどう向き合うべきか?人気コンサルが「国益」と「倫理」のはざまで考えたこと

 

次に中国についてです。結論から言うと、わたしが言う「連帯」というのは、中国の強権的な体制や人権弾圧を素晴らしいから見習おうと言っているわけではありません。アジアの巨大なビジネスパートナーなのだから、わざわざ喧嘩を売って無駄な敵対をする必要はないという、極めてドライで現実的な戦略の話です。

質問者さんは会社経営に例えて「中国と連帯するのは反社で取引するようなものだ」とおっしゃいましたが、では国際法というルールに照らし合わせた時、本当の反社はどこでしょうか?

イラクに大量破壊兵器があると嘘をついて侵攻しました。イラク人全体の戦争関連死約 15万人~46万人超、研究によっては65万人超です。これはもうナチスドイツ並みですよね。

ベネズエラを攻撃したり、国連の決議もなしに他国への武力侵攻しているのはアメリカです。一方で中国は中越戦争以降、他国への本格的な武力侵攻は行っていません。今の世界情勢だけを見れば、あちこちを侵攻して回るアメリカよりも、中国の方がよほどマシで信頼できると考える国(ヨーロッパや中東も含めて)が増えているのが現実です。アメリカ人でさえ、中国に不信感をもっていた4割強が2割まで減ったと伝えられています。

ウイグルでの弾圧は、我々から見れば非人道的で恐ろしいことです。しかし中国政府のロジックでは、あれは国内問題なんです。

ウイグルに関しても、歴史を辿ればかつて彼ら(ウイグル側・騎馬民族・清のルーツ)が何百年も漢民族(今の中国共産党の中核)を支配し、弾圧してきたという複雑な背景があります。今の中国政府からすれば、あれは歴史的な復讐であり、民族浄化という内政の延長なんです。もちろん弾圧は悪いことですが、そういう歴史的感情のマグマがあることを知っておく必要があります。

また「自国民を弾圧する国とは付き合えない」と言うならアメリカはどうでしょうか。ネイティブ・アメリカンから土地を奪って虐殺し、アメリカ南部では黒人と白人が結婚すれば逮捕され、黒人には投票権すらなく、凄惨なリンチが合法的に行われていたんです。

今でもブラック・ライヴズ・マター運動が起きるほど根深い差別が残っています。自国民への弾圧という点でも、アメリカは決してクリーンな国ではありません。

南シナ海の軍事拠点化にしても、実は中国だけでなくフィリピンやマレーシアなど周辺7カ国がお互いに領有権を主張して基地を作っているのが現実で、中国だけが一方的に悪事を働いているわけではないんです。

長くなりましたが、わたしが言いたいのは「アメリカの宣伝を鵜呑みにして、無自覚に中国を仮想敵国にするのはやめよう」ということ。会社だって競合他社や腹の中が読めない相手ともジョイントベンチャーを組んで利益を出すことはありますよね。

日本はアメリカ一辺倒になるのではなく、アジアの一員として中国とも経済的にしっかり連帯し、したたかに国益を追及すべきです。感情論で「非人道的な国だから敵だ」と切り捨てるのは簡単ですが、それではこの複雑な国際社会を生き残ることはできません。

わたしのイランと中国に対するリアルな見解は以上ですが、皆さんのビジネスや国際情勢を読み解くヒントになれば幸いです。ご意見・反論など大歓迎ですので、またいつでもご質問ください。(この記事は、メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』を一部抜粋したものです。そのほかの質問や、今週のニュースなど、メルマガ全文をお読みになりたい方はぜひ初月無料のメルマガにご登録ください)

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