もう誰にも止められぬ「世界大戦」に突入か?米中首脳会談後に加速する「分断極まる国際情勢」の行方

 

対米不信で生まれた空白に滑り込んだ中国が求める見返り

その対米不信で生まれた空白に滑り込んできたのが中国で、かつてイランとサウジアラビアの国交回復を助け(2023年)、アラブ諸国およびイランに対して戦略的パートナーシップを提供して、対アラブ・対イランのバックアップを提供する外交戦略を活発化することで、アラブ地域における影響力を拡大しています。

しかし、中国の場合は、軍事的な庇護は与えず、経済的なバックアップに留まるものになっていますが、それは制裁下のイランを助け、かつアメリカとの経済関係の密月を終焉させることを考えるアラブ諸国に経済的な確実性(certainty)を与えるものとして評価されています。これは一種の“中国版みかじめ料”システムと言えるかもしれません。

では、中国は一体何を見返り(みかじめ料)として得るのか?一言で言えば“外交舞台での中国支持(または中国に対する非難潰し)”です。中国の一挙手一投足に対して、欧米諸国とその仲間たちから、国連をはじめとする国際社会において対中非難が浴びせられた際、対中非難をスルーしたり、反論を加えたりすることを、“支援国”に求めるのが典型例です。

一帯一路政策の場合、中国による債務の罠がよく非難の対象になり、欧米諸国とその仲間たちが“途上国”に対して警鐘を鳴らしていますが、実は債務の罠から中国が得をしている・利益を得ているケースはあまり見当たらず、どちらかというと、中国からの出稼ぎ労働者によるコミュニティの占拠への批判的な意見や、東南アジア諸国に見られる安全保障面での対中警戒論の強まりがあるものの、どちらかというと、対象国は恩恵を受けているという見方が多く聞かれ、外交舞台における中国への攻撃に対する緩衝材としての役割を果たす国が、国連の議論を見ても、増えてきているように感じています。

かつては絶大な軍事力と経済力を武器に、世界の警察官として世界の7つの海すべてに海軍基地を持ち、経済面ではグローバル・エコノミーの中心〈頂〉に君臨していたアメリカの影響力は確実に廃れ、そこに中国の影響力の伸長が顕著に見られ、ロシアの復権の試みが見られるようになっています。

ではロシアはどうでしょうか?

これまでイランやシリア、レバノン、ベネズエラといった“反欧米諸国”や、軍事協定を結んでいたアルメニア、そしてスタン系の国々は「何か困ったこと、特に自国が攻撃に晒されるようなことがあれば、ロシア(ソ連)が助けてくれる」という“確信”がありました。

実際にアラブの春がアラブ諸国に拡がり、アサド政権が反体制派の攻撃に晒された際には、ロシアは体制側について空爆を行いましたし、イランがアメリカと対立し、欧州からの非難の的に晒され、厳しい経済制裁に直面し、かつイスラエルからの攻撃の脅威に晒された際には、武器供与を行ってイランの軍事力強化に一役買ってきました。

その代わり、ロシアに庇護を求める国々は、外交舞台においてとことんロシアを支持し、ロシアがウクライナへの侵攻を行った際にも、制裁や非難の輪には加わらず、逆にロシアがウクライナにおける戦いを続けるための支援を行ってきました。

ウクライナ戦線に投入されている無人ドローンは、実際にはイランのものですし(ちなみに、トルコ製のものも多数あり)、国連の場でもロシア批判が出ると、イランはロシア擁護に走るという、持ちつ持たれつの関係が確立していました。

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