日本に迫られる米軍が参加しない場合の国家安保戦略の策定
次にアジアを見てみると、脅威はロシア、中国、そして北朝鮮から寄せられています。
これまでは在沖縄米軍、在韓米軍、そこにグアムの総司令部の3頭体制に加え、フィリピンを中心とする東南アジア諸国・南シナ海沿岸諸国におけるアメリカのプレゼンスにより、アジア太平洋地域の“安定”は保たれてきました。
しかし今、米軍のイスラエルへの偏重が鮮明になる中、アメリカの戦力は中東・ペルシャ湾に移され、アジアは空っぽの状況が生じているため、日本をはじめとするアジア諸国は、“アメリカ軍が参加しない場合の国家安全保障戦略”の策定と、有事に備えた体制作りを急がなくてはならない状況です。
日本について見れば、現時点では日米安全保障条約は日米両端において堅持されていますが、日本および近海におけるアメリカ軍のプレゼンスが低下している中、“安保条約に即してアメリカが守ってくれる”と信じつつも、自ら国と国民を守るために防衛力の拡充を急がなくてはならない状況になっています。
アメリカによる防衛の提供に対するみかじめ料として、多額の在日米軍基地の費用負担や、アメリカからの戦闘機やミサイルなどの購入などを行ってきましたが、昨今の安全保障環境を鑑みると、独自の戦力確保のための“軍備拡張”が重要性を増していると考えています。
米ロの庇護の共通点として挙げられる【恐怖ベースのつながり】によって、米国と中南米諸国、欧州、アジア諸国が繋がり、ロシア側ではベラルーシやスタン系の国々が繋がって、非常にデリケートなバランスの上に安定が成り立ってきましたが、それぞれの親分による庇護が期待できない中、各国は自己防衛のための様々な策を練るようになっています。
先述のようなEUの再結束と欧州防衛軍構想と独自の核の傘もその一つですし、グローバルサウスの旗の下、新興国が集い、実利に基づいて協力することで影響力を増大させて“守るためのブロック”を拡大しているのも一例です。
そして南米の共同体であるメルコスールも最近になってそのパートナーを拡大することを模索し、来週のルラ大統領(ブラジル)の訪日もその一環と言われているように、気の合う仲間・利害が一致しそうな仲間と連帯することで、広義での安全保障の確立を図ろうとする動きが活発化しています。
目を中ロの側に移すと、ちょうどインドで外相会議が開かれているBRICSの枠組みの拡大や、上海協力機構の拡大などは、旧来のみかじめ料制度に代わる仕組みと考えることが出来ます。
この現実から見えてくるのは、不可逆的な世界の多極化であり、実利に基づく軸のない安全保障の枠組みです。
庇護の供与者だったアメリカやロシアは、自国ファーストの視点から力で他をねじ伏せる【力による外交】を推し進め、ロシアは大ロシア帝国の再興を願ってウクライナに侵攻し、ベラルーシを実質的な属国にし(ルカシェンコ大統領は自らの地位が守られる限り、統治形態にはこだわらない)、旧ソ連諸国に対して、あの手この手で触手を伸ばし、その向こうにいる欧州に対しては、恐怖を武器にTake it or Leave it(ロシアと対峙するか?それともロシアと組むか?)の選択肢を突き付け、一方的な欲望を押し付けようとしています。
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