次第に閉じようとしている平和な日常の回復に向けた機会の扉
アメリカについて(トランプ政権について)は、同盟国を威嚇し(相互関税措置)、これまで築き上げてきた集団的自衛権のシンボルであるNATOを私物化し、自身の思い通りにならない欧州を切り捨て、挙句の果てには「自分のことは自分で守れ」と突き放して、同盟を崩壊させる方向に進もうとしています。
そしてアメリカを実質的に保有するとさえ言われるイスラエルの意向によって、アメリカは、一度は逃げることが出来た中東地域の泥沼に引き戻され、自国の意思とは関係なく、イスラエルの利益拡大と生存の継続の確保のために戦い、そして、自らの意思では停戦させてもらえない大きな矛盾に直面し、長年かけて築いてきたアラブ諸国との緊密な絆を失いつつあり、このままでは勢力争い・覇権争いのオセロにおいて、持ち駒が敵方に寝返る可能性が高まるという事態を生み出しています。
“みかじめ料を支払っても、自国の防衛強化にはつながらない”ことが分かってきた国々は、それぞれに自衛という看板を掲げて軍拡を進め、それにつれ、周辺国との軋轢と疑心暗鬼が高まり、それがじわりじわりと不安定な安全保障環境を作り出しつつあり、非常に混沌としてきています。
今、トランプ大統領が北京を訪れ、米中首脳会談が行われていますが、表面的には親密な雰囲気を醸し出しつつも、実際にはほとんど何ら合意できないと考えられ、その結果、国際社会における緊張の高まりは加速し、そして分断もまた、不可逆的な加速をするものと思われます。
もし、習近平国家主席が「中国にとって核心的な利益」と位置付ける台湾の併合を含む中華大統一に向けた動きが加速し、中国が台湾に対して武力侵攻するようなことがあれば、米ロ中というすべての大国・パワーハウスが同時に戦争に突入する世界が表出することになりますが、それは同時に“拠り所がなく、倫理や協調の精神よりも力がものをいう混乱の世界の現れ”を意味することになります。
それはまた対立の激化を意味し、戦争同士が呼応し、連鎖するようなことになれば、もう誰にも止めることができない世界大戦に、私たちは突入することになるかもしれません。
そのような状況に陥らないために英知を結集して解を探る必要があるのですが、米・イスラエルとイランの停戦の見込みは立たず、ホルムズ海峡の閉鎖解除に向けた出口も見えず、さらにはロシア・ウクライナ戦争の終わりも見通せない中、平和な日常の回復に向けた機会の扉は次第に閉じようとしていることに、大きな懸念を抱いています。
今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年5月15日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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