もう誰にも止められぬ「世界大戦」に突入か?米中首脳会談後に加速する「分断極まる国際情勢」の行方

 

当てにならない米ロに対する不信感と同盟国に広がる危機感

しかし、このところロシアは、親ロシア国から徴収してきた“みかじめ料の対価としての庇護要請・責任”に応えられていません。

シリアでアサド政権が終焉に至った際にも助け船は出せず、ナゴルノカラバフ紛争においてトルコのフルサポートを得たアゼルバイジャンの攻勢を受けても、アルメニアに対して軍事同盟・協定に基づく軍事支援は行わず、ほぼ何もしないまま、アルメニアの敗北を招いています。

そして、昨年6月にアメリカ・イスラエル合同でイランの核施設を攻撃した際(12日戦争の際)にも何もできず、かつ今年2月28日に始まった現在進行形の戦いにおいてもロシアはイランを“表舞台では”助けることが出来ていません。

さらにはベネズエラがアメリカに急襲された際にも、ロシアは一切助け舟を出さず、結果としてベネズエラを見殺しにしたと言われており、各国からの支持や連帯に応えられていないのが実情です。ここでもまた“大国によるみかじめ料システム”は破綻しています。

その結果として何が起きているか?

同盟国に拡がる「みかじめ料に対する務めを放棄し、私たちに何かが起きた時(有事)にも助けに来てくれない」という諦めと危機感の拡大です。

それがより顕著に見られるアメリカに対する失望という観点から見てみると、それはNATOの結束の崩壊、欧米間の歩調の乱れ、北東アジア地域におけるアメリカのプレゼンスの著しい低下などが顕著になってきたことで、アメリカへの依存体制を見直し、「自分の身は自分で守らなくてはならない」と、各国は防衛費の増大と軍備増強に舵を切り始めるようになっています。

欧州各国はこれまでのNATO偏重の安全保障体制を見直し、予てよりフランスのマクロン大統領が提起している欧州防衛軍構想を真剣に検討するだけでなく、フランスの核の傘を欧州全域に提供するという案が提示され、これまでそれに反対姿勢を示してきたドイツも、その案をフルサポートするようになっていますし、欧州の隣国“英国”も、ジョンソン政権時に宣言した核戦力の拡充を淡々と進め、ロシアからの脅威に立ち向かう姿勢を鮮明にしています。

これが意味するのは、米英間の“特別な同盟関係”が崩壊寸前の危機にあるということであり、大西洋が分断のポイントに変わることから、ロシア・中国勢(潜水艦)がグリーンランド近海の深海に進出し、欧州のみならず、米州の安全保障も脅かすことになるということです。

ゆえに、トランプ大統領が繰り返す“アメリカによるグリーンランド保有・領有”という突拍子もないアイデアは、強ち荒唐無稽な妄想ではないことが分かります。

トランプ大統領のアメリカが、ロシア寄りになり、ウクライナへの軍事的な支援に前向きでないことが明白になったことで、欧州のアメリカ離れと、欧州が自らの力でロシアからの脅威に立ち向かう“新時代”への扉をあけるきっかけになっています。

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