「スペースXがアンソロピックを買う」というシナリオも
それは巨大化した1社が残りの2社の双方もしくはどちらかを買って取り込むという可能性です。具体的にはアンソロピックの上場が、様々なイチャモンがついて先延ばしになる場合です。その場合に、アンソロピックの引っ張ってきているノンバンク融資の期限が来る場合には、スペースXがアンソロピックを買うというシナリオはあり得ます。
もう1つは、仮にアンソロピックもオープンAIも「無理やり上場」してしまった場合です。上場はしたが「マネタイズの加速は壁にブチ当たって」しまったとしたらどうなるでしょう。例えばハード特化に傾斜しているアップルを買うとか、現場が成熟しすぎたMSを買うとかいう形で、AI企業がクラシックなシリコンバレーの巨人を買ってしまうというシナリオはあり得ます。
こうした2つのシナリオが機動的に展開されて、はじめてAI3社の当面の延命ということは可能になる、そんなストーリーを感じています。ちょうど、本稿の時点、すなわち2026年6月22日の相場では、終値でスペースXが154ドル60まで売り込まれており、市場環境の難しさを示唆していると思われます。この日の市場センチメントが、悪いシナリオの予兆だとすると、仮に、AI株のバブルが急速に崩壊した場合は、マネー的にはゴールドではなく、今回はクリプト(暗号通貨)に資金が向かうかもしれません。
2つ目のバブルは不動産です。東京など日本の都市圏の不動産バブルも難しい局面になっていますが、NYなどアメリカの都市、そしてアメリカ郊外の不動産バブルも似たような厳しい状況にあります。それは、どう考えても「買い手の購買力に余る」水準まで買い上げられたということです。
例えばNY市内のアパートメントの賃料は平均で4,000ドル(64万円)を越えています。郊外の一戸建て住宅は購入価格が1ミリオン(1億6,200万円)をオーバーしており、30年ローンを組むとローン元利と固定資産税、保険料をトータルすると月の支払いが6,000ドル(ほぼ100万円)という状況です。
それでもNY都市圏の人々は「どっこい生きている」のは事実ですが、閉塞感はかなりのものがあります。マンハッタンやブルックリンでは、単身者のルームシェアは当たり前ですが、時折、複数カップルがLDKを共用するルームシェアをせざるを得ないとか、単身者が3人でシェアするなどという話もあります。
また、郊外に「夫婦ともに書斎を備えて」どちらもテレワーク主体で仕事と家庭を回そうという投資をしたという家族も多いです。この場合に、現在は各企業が「オフィスへ戻れ」という圧力をかけている中で、「それでは自分たちの投資はどうなる」として、テレワーク継続を主張、トラブルが多くなっています。現時点での労使の力関係は、週5日のうち「出勤4、テレ1」ですが、雇用側は4.5ぐらい出勤させたいようで、各社で揉めています。
企業側としては、これで労働側が改めてテレワークの権利を押し返してくると、今度はオフィス物件の相場が崩れるとか、マンハッタンの昼間人口が逆戻りといった懸念も持っています。ということは、住居物件も、オフィス物件もどちらも、そろそろバブルの領域に突っ込んでおり、崩壊リスクは無視できないということになります。仮の話ですが、東京の不動産バブルがハードランディングしてしまうと、それがNYに連鎖するという可能性は(逆も含めて)十二分にあると思います。
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