そろそろ賞味期限が来つつある「トランプ現象バブル」
3つ目は政治バブルです。2015年の初夏にトランプ氏が突如政界入りを表明して以来、足掛け12年目に突入したトランプ現象バブルも、そろそろ賞味期限が来つつあるようです。アンチエリート、アンチグローバル、極端な孤立主義、ランダムな軍事外交と経済財政というメニューを、右派ポピュリズムのステーキソースで食わせるというモデルも、飽きられています。
一方で、もはや見分けのつかなくなった共和党の穏健派ブッシュ路線と、民主党の穏健派オバマ路線というのも、グローバリズムの行き詰まり、過度の格差拡大によって、輝きを失っています。中でも、グローバリストとも言える、このグループは、明らかにトランプ派を「包摂できない」ということは明らかとなってしまいました。巨大な被害者意識の塊、しかも暴発を内包した不安定な塊である存在を、敵視しかできない中では、このグループの賞味期限も過去形だと思います。
そんな中で消去法的に浮かび上がるのが、成長を止めて強烈に再分配を行うという、民主党左派(プログレッシブ)であり、社会主義者を自称するグループです。小さいながら、よくも悪くも意気盛んなこのグループは、しかしながらトランプ派とグローバリストには押され気味です。シリコンバレーとウォール街の巨大なマネーが、トランプ派とグローバリストに注入されており、これにはプログレッシブは対抗できていません。
そんな中で、不思議な「脱政治」のムードがあります。建国250年が全く盛り上がらないのも、11月に迫った中間選挙が白け気味なのもこのためです。悪しきイデオロギー対立は国を分断してしまい、マイナスが大きいのです。ですから、政治が加熱するのはよくないのですが、現状にある不気味な静けさというのは、政治バブルの空気が抜けてしまったという、これはこれで空虚を感じます。あるいは、国としての活力が消えてしまったようにも思います。
ということで、既に3点目の政治バブルの空気は抜けつつあるわけですが、問題はAIバブルと不動産バブルで、こちらは、今日の時点では全くもって破裂していないばかりか、バブルは拡大中です。株については、とにかくAI3社の大型上場完了を目指して全体は動いています。不動産も、郊外の戸建て相場に関しては、この5月から6月の「季節的な販売ピーク」の時期には、更に実需が押して微妙に上がっています。
アメリカのバブルは明らかに膨張を続けており、破裂のリスク、そして破裂時のインパクトというのも、同時に拡大中と考えたほうが良いでしょう。さて、本論の円防衛ということで考えるのであれば、そこが最大のポイントになると思います。
「アメリカのバブル崩壊の余波に煽られて、円もより脆弱性を露呈し、さらなる円安と債権安に転落、国民の生活水準の切り下げを余儀なくされる」
のか、それとも、2008年のリーマン・ショック時のように、
「バブル崩壊と政治の混迷によって混乱するアメリカを横目に、日本は社会の安定、財政規律の確保、民間活力の維持をアピール、比較優位という評価から円の防衛を継続」
というシナリオになるのか、ということになると思います。
この前者のシナリオは、何が何でも回避しなくてはなりません。そうではなくて、何としても後者、つまりアメリカのバブルが崩壊しても、日本としては円の防衛ができるシナリオを求めてゆく必要があります。
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