夢想が現実に打ち砕かれるや恐ろしく頑なになる高市首相
日本の保守系メディアは、高市首相が経済安保を主導したと高く評価した。同行した産経新聞の記者はこう書いた。
高市総理は空き時間を使って各国の首脳に積極的に話しかけ、コミュニケーションを図っていた。過去に同行した外遊先でも、同様の姿が多く見られた。今回の議論の場でも、総理周辺が「言うべきことは全て言った」と話すように議論をリードする姿が見られ、イギリスのスターマー首相などは深く頷き「その通りだ」と言っていた(政府関係者)。
しかし、手放しで褒めたたえられるほどの“成果”だったのかというと、少しばかり疑わしい。
欧州各国にとって、中国は依然として巨大な市場であり、サプライチェーンの維持・拡大は国内経済の切実な課題だ。2025年暮れから26年にかけて、フランスのマクロン大統領やドイツのメルツ首相ら欧州首脳が相次いで“北京詣で”をしたのは、地政学的リスクを認識しつつも、実利的な関係改善を模索せざるを得ない欧州の台所事情を反映している。トランプ氏でさえ中国との関係を重視する姿勢に傾いており、経済安保上、日本の孤立が指摘される状況になっている。
そうした国際情勢のなかで、中国を総理就任早々に「台湾有事発言」で怒らせた高市首相が、中国への懸念を念頭に、重要鉱物の共同備蓄を推進しようとG7諸国に持ちかけているのだ。共同声明に盛り込みはしたが、欧州各国首脳の間では、大手を振って賛成し、中国に睨まれたくないという思いが共有されていたのではないだろうか。
欧州と日本の“温度差”を否応なしに突きつけられた“不完全燃焼”こそが、高市首相の垣間見せた表情の正体ではないか。そんな気がしてならない。
夢想したことが現実によって打ち砕かれる時、高市首相はおそろしく頑なになる。
日本国内でさまざまな問題を抱えているのは周知のとおりだ。円安とコストプッシュ型の物価高に有効な対策が打てず、じわじわと支持率が落ちている。おまけに週刊誌にサナエ・トークンや中傷動画の問題を暴き立てられ、心身ともに疲労は極限に達している。
中傷動画問題における国会答弁が常軌を逸しているのは、自分は「こうありたい」という理想を守ろうとするあまり、それに著しく反する現実を受け入れられないためではないか。嘘をついてでも、なかったことにしたいのだ。
AIに造詣の深い起業家に中傷動画の作成・拡散を依頼した疑いが持たれている木下剛志秘書はこの20年間、地元を丹念にまわり、高市陣営の選挙対策の中核を担ってきた。選挙はきれいごとではすまない。人間の欲望が渦巻く世界だ。
高市氏はアメリカ連邦議会の立法調査官という経歴を売り物に、情報番組のキャスターとしてテレビ界に登場した。米議会にそんな職業は存在しないといわれ、詐称を指摘する声も上がったが、ひるむことなく自己アピールにつとめ、テレビ出演で得た知名度によって当選を果たし、政界に進出した。カイロ大学卒業を看板にのし上がった小池百合子氏(現東京都知事)を思い出させる話だ。
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