見え透いた逃げ口上に走るがゆえに立ってしまう「悪評」
高市氏について、「息を吐くように嘘をつく」とか「虚言癖がある」という悪評が見受けられる。これも「自分はかくありたい」という切実な願望に縛られるがゆえに、きれいごとでは済まない現実を受け入れられず、ついつい、見え透いた逃げ口上に走ってしまうせいではないか。
イメージが先行する高市氏の足らざるところを補い、いわば裏の戦いを牽引してきたのが木下秘書であろう。「高市事務所は他陣営の誹謗中傷をしたことがありません。それが矜持です」と胸を張る高市氏の理念と、木下氏が担う“現実”の裂け目から、ヘドロのようにオモテに噴き出してきたのがサナエ・トークンと中傷動画の問題といえる。
よく知られた事実がある。2024年の自民党総裁選でテレビ出演したさい、20人の推薦人のなかに6人もの“裏金議員”がいると指摘されて、高市氏が発した言葉。
「誰を推薦人に入れるかはチームに任せている。総裁選告示翌日の新聞を見るまで知らなかった」。
今回の中傷動画をめぐる答弁でもしばしば出てくる言い逃れの一典型だ。総裁選に立候補できるかどうかのカギを握る推薦人である。知らないわけがないではないか。平気でそんなことを言うから、悪評が立つのだ。「嘘も方便」ということもある。だがそれは、利己的なごまかしではなく、思いやりや知恵としての嘘を指す。
G7の会場で高市首相が垣間見せた苦悩の表情。むろんここには、ごまかしも何もない。一人で“タバコ部屋”にこもり、思うように動いてくれない自民党幹部や官僚たちに不満を募らせる孤独な宰相そのままだ。
高市氏が追い求める「世界の中心」を叶えてくれるはずの舞台は、彼女を映し出す鏡のようでもあった。笑顔という仮面を剥ぎ取った先に見えたのは、強気な答弁の裏側に隠し続けてきた、誰にも助けを求められない孤独な政治家の素顔だった。
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image by: 首相官邸









