安堵と悔しさが入り混じっているように見えた首相の背中
強硬路線を転換させたのは、皇室典範改正案すら今国会での成立が危ぶまれる事態に直面し、これ以上の国会空転は政権の致命傷になりかねないと判断したためだ。いくら維新が泣きついてきても、もはや状況を覆す力は首相に残されていなかった。誹謗中傷動画などについての国会の追及をかわすため党の協力が必要な高市氏は、維新を切り捨てる決断をしたのである。
二人とも会談後の会見では、「詳細についてはお答えを差し控えさせていただく」(高市首相)などと繰り返したが、首相の背中には維新との関係維持という重荷を投げ出した安堵と、麻生氏ら自民主流派に屈した悔しさが入り混じっているように見えた。二つの法案の成立を悲願としていた維新にとって、これは政策実現の敗北であり、連立の存立基盤が崩壊した瞬間である。
それにしても、これまでの強硬姿勢は何だったのか。首相は維新との信頼関係を維持するために大切な2法案の成立が危ぶまれる状況に追い込まれ、結局は「国会のことは国会で」という建前を崩して自ら先送りを決めた。怒り狂っていた維新も、麻生氏の描いたシナリオ通りに「アクセル」を緩めさせられたのだ。
つまるところ、世論の風向きを頼みとする高市首相が、古き自民党の政治力学を駆使する麻生氏の軍門に下り、その掌の上で転がされているという現実が浮き彫りになった。
麻生氏は今後、来年9月の自民党総裁選を見据えて本格的に連立の入れ替えを画策してくるだろう。風前の灯となりつつある維新との関係。自民党内に味方が少なく、維新のふかす“アクセル”を力にしてきた高市首相は、いよいよ麻生氏に逆らえなくなってきた。
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