痛々しいほどだった「悪戦苦闘」する小野寺五典氏の姿
結果として、22回にわたる実務者会議がたどりついたのは「集約断念」だった。小野寺議長は「中間とりまとめ」に、議長案と、野党各党の主張を併記し、高市首相の判断を仰ぐという形に持っていかざるを得なくなった。そして、当然のことながら高市首相は議長案を選択し、7月30日、党の臨時役員会で「食品消費税1%」を正式表明した。
不思議なのは、高市首相がこの役員会の後、記者団に明確に方針を発表したにもかかわらず、この減税案はまだ自民党の税調や政調会、総務会での議論を経ていなかったことだ。この強引な姿勢に党内からも批判の声が上がり始めた。
党税制調査会の幹部会合後、逢沢一郎氏。
異論、明確な反対の声が多かった。にわかには賛成しがたい。
同、稲田朋美氏。
給付に変える選択肢もあるのではないか。
X投稿で、河野太郎氏。
私は、食料品の消費税減税には反対で、給付による対応をすべきと考えています。消費税減税には指摘されているように、さまざまな問題があります。まず、年間五兆円といわれる必要な財源の目途が立ちません。
8月3日に開かれた党税制調査会と社会保障調査会の合同会議では、首相の応援議員が大挙してつめかけ、減税への賛成意見を表明、反対派との間で議論が紛糾したが、最終的には小野寺氏に対応が一任され、事実上、了承された。
減税に反対して税調の「インナー」と呼ばれる非公式幹部会合のメンバーを辞任したばかりの小渕優子氏は会議の後、次のように語った。
今日もはっきりした財源は示されなかった。農家や中小規模事業者にさまざまな影響が出てくるが、どう対策するのか具体的な議論ができていない。いろいろなデメリットがあるにもかかわらず、国民に伝えなくていいのか。
高市人気に陰りが見え始め、ようやく独断的な政権運営への党内の不満がオモテに出てきた感がある。首相の意向に沿えるよう悪戦苦闘する小野寺氏の姿は痛々しいほどだった。
ともあれ、高市首相もこの減税政策が大した効果をもたらさないことくらい認識しているはずである。だからといって、支持者の手前、いまさら「給付」とは言えない。公約を実行する強い女性宰相を演じ続けるためには、コロコロと政策を変えるわけにはいかないのだ。
2年後、つまり2028年の夏には参院選がある。ちょうど、食料品の税率を1%から8%へ戻すかどうかが政治の焦点になっている頃だ。一転しての大増税。自民党は選挙を戦えるのか。「2年後には私が責任を持って確実に税率を元に戻す」と首相は強調するが、「一寸先は闇」と言われる政界で、軽々しくそんなことを言っていいのだろうか。
支持率急落に直面した高市首相がすがりつく「2年限定」の減税策。経済政策というより、「公約を守る首相」のイメージを作り上げるための政治的な道具に成り下がっている。野党から実効性の欠如を突かれ、結局は政権の独断で決めるなら、「国民会議」とは一体何だったのか。
もとより公約は大事だが、世界の情勢は刻々と変化しており、時に応じて変えることも必要だ。「政治の論理」だけで、将来に禍根を残す決定を下すべきではない。目先の人気取りではなく、日本経済の現実を見据えた冷静な議論が今こそ求められている。
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image by: 首相官邸








