世界のトップAI研究者「47%」が中国の大学出身という衝撃。中島聡が読み解く、米国を脅かす“数の力”と“才能を集める仕組み”

 

なぜそうなるのか――数の力と、才能を集める仕組み

理由は三つに分けられます。母集団の大きさ、そこから才能を吸い上げる制度、そして育てた層を海外に送り出してきた経路です。

第一に、単純な数の力です。高考(ガオカオ。中国の大学入学統一試験)の受験者は年間1,300万人を超えます。日本の大学入学者は年間およそ60万人ですから、母集団が20倍以上違う。同じ割合で才能が生まれるとしても、絶対数では最初から勝負になりません。

第二に、その母集団から最上位層を吸い上げる仕組みです。ジョージタウン大学CSET(安全保障・新興技術センター)の推計では、2025年時点の理工系の博士号取得者は、

  • 中国:77,000人超
  • 米国:約40,000人(留学生含む)

米国の数字から留学生を除くと、中国の理工系博士は米国の3倍以上になります。しかも量だけではありません。中国の博士の約45%は「双一流」に代表される重点大学の出身で、約8割が政府直轄の教育機関の卒業生です。上位校に資源を集中させ、そこに全国の才能を流し込む設計になっているわけです。

高校段階の層の厚さも尋常ではありません。IMO(国際数学オリンピック。世界中の高校生が数学で競う大会)で、中国は2005年以降の22大会で常に3位以内に入っています。金メダルは通算116個。2022年には代表6人が6問すべて満点を取り、6人×42点=252点という満点を記録しました。IMO史上唯一の完全制覇です。国内予選の裾野は、省の予選を含めて約100万人と推定されます。

これを支えているのが制度設計です。中国では国家集訓隊(各科目60名)に選ばれると、高考を受けずに清華大学や北京大学へ進学できる「保送」の資格が与えられます。最上位層に一発逆転のルートを用意して、そこに全国の才能を吸い寄せる仕組みです。

第三に、育てた最優秀層を米国の大学院へ大量に送り出してきたことです。学部で鍛え、博士は米国で取る。この経路があったからこそ、中国の学部教育の質は世界の指標に載ってきました。そして、いま変わりつつあるのは、まさにこの三番目です。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

初月無料で読む

※ワンクリックで簡単にお試し登録できます↑
¥880/月(税込)初月無料 毎週 火曜日(年末年始を除く)
月の途中でも全ての号が届きます

print
いま読まれてます

  • 世界のトップAI研究者「47%」が中国の大学出身という衝撃。中島聡が読み解く、米国を脅かす“数の力”と“才能を集める仕組み”
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け