世界のトップAI研究者「47%」が中国の大学出身という衝撃。中島聡が読み解く、米国を脅かす“数の力”と“才能を集める仕組み”

 

それが、すでに国力に転換されている

人材の話が抽象論でないことを示した転換点が、2025年1月20日のDeepSeek R1でした。

高性能な推論モデルが、重みを公開した形で、しかもMITライセンスで出てきた。同社は前身モデル(V3)について、最後の学習ランにかかった費用だけで約$6million(約9億円)だったとしています(研究や試行、データ整備の費用は含みません)。それでも、OpenAIがGPT-4に投じたとされる$100million(約150億円)とは桁が違う。

1月27日には米国のiOSアプリストアの無料ランキングでChatGPTを抜き、Nvidiaの株価は約17%下落、時価総額にして約$589billion(約88兆円)が消し飛びました。米国株式市場の歴史で、単一企業の1日の下落幅として過去最大です。

さらに重要なのは、これが米国の対中半導体輸出規制の下で起きたことです。DeepSeekは輸出向けの性能を落としたチップを、より少ない枚数で使い、アルゴリズムの効率化で埋め合わせました。規制は中国の計算資源を制約しましたが、その制約が逆に「同じ性能を少ない計算資源で出す」方向の工夫を強制した形です。

そして、あれは単発の花火ではありませんでした。その後の1年半で、重みを公開するモデルの中心はすでに中国勢に移っています。DeepSeek、Alibaba(Qwen)、Moonshot(Kimi)といった名前が、開発者が自分の手元で動かすモデルの主要な選択肢になりました。

研究基盤の数字も、すでに逆転しています。文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が2026年8月に公表した「科学技術指標2026」によると、

  • 論文数、注目度の高い論文(Top10%)、最上位の論文(Top1%)の3指標すべてで中国が世界1位
  • 中国のTop10%論文のシェアは40.6%(前年版の35.6%からさらに拡大)
  • 研究開発費の総額でも、中国が初めて米国を抜いて1位

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

初月無料で読む

※ワンクリックで簡単にお試し登録できます↑
¥880/月(税込)初月無料 毎週 火曜日(年末年始を除く)
月の途中でも全ての号が届きます

print
いま読まれてます

  • 世界のトップAI研究者「47%」が中国の大学出身という衝撃。中島聡が読み解く、米国を脅かす“数の力”と“才能を集める仕組み”
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け