それが、すでに国力に転換されている
人材の話が抽象論でないことを示した転換点が、2025年1月20日のDeepSeek R1でした。
高性能な推論モデルが、重みを公開した形で、しかもMITライセンスで出てきた。同社は前身モデル(V3)について、最後の学習ランにかかった費用だけで約$6million(約9億円)だったとしています(研究や試行、データ整備の費用は含みません)。それでも、OpenAIがGPT-4に投じたとされる$100million(約150億円)とは桁が違う。
1月27日には米国のiOSアプリストアの無料ランキングでChatGPTを抜き、Nvidiaの株価は約17%下落、時価総額にして約$589billion(約88兆円)が消し飛びました。米国株式市場の歴史で、単一企業の1日の下落幅として過去最大です。
さらに重要なのは、これが米国の対中半導体輸出規制の下で起きたことです。DeepSeekは輸出向けの性能を落としたチップを、より少ない枚数で使い、アルゴリズムの効率化で埋め合わせました。規制は中国の計算資源を制約しましたが、その制約が逆に「同じ性能を少ない計算資源で出す」方向の工夫を強制した形です。
そして、あれは単発の花火ではありませんでした。その後の1年半で、重みを公開するモデルの中心はすでに中国勢に移っています。DeepSeek、Alibaba(Qwen)、Moonshot(Kimi)といった名前が、開発者が自分の手元で動かすモデルの主要な選択肢になりました。
研究基盤の数字も、すでに逆転しています。文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が2026年8月に公表した「科学技術指標2026」によると、
- 論文数、注目度の高い論文(Top10%)、最上位の論文(Top1%)の3指標すべてで中国が世界1位
- 中国のTop10%論文のシェアは40.6%(前年版の35.6%からさらに拡大)
- 研究開発費の総額でも、中国が初めて米国を抜いて1位









