上皇さまと天皇陛下の姿勢から感じられる「強い懸念」
国民に寄り添い、明治以来の葬儀のあり方を変えたいと望む上皇さまの姿勢は、今の天皇陛下が、男系男子の皇位継承にこだわる皇室典範改正について「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と言及されたことと、相通じるものがある。そもそも「男系男子」というルールは、明治政府が政治的思惑もあって旧皇室典範で定めたものにすぎない。
お二人の姿勢には、特定のイデオロギーや古い権威主義が暴走し、皇室が国民の意識や生活感覚から乖離してしまうことへの強い懸念が感じられる。
葬儀の規模縮小について、宗教学者の島田裕巳氏はプレジデントオンラインで、以下のように書いている。
国民の間に起こってきた葬儀の簡略化の流れに、皇室もようやく追いついたと言えるかもしれない。ここで重要なことは、上皇の試みが、自分のためのものではなく、皇室の未来の世代のためのものだという点である。それも、一般国民の思いと共通する。高齢者が終活を進めるときのキャッチフレーズは、「家族にだけは迷惑をかけたくない」である。
日本人一般の葬儀が「家族葬」や「直葬」などに簡素化されてきている現状を踏まえた的確な指摘といえる。
伝統主義的、保守的な論者の中には、皇室の儀礼やしきたりをそのまま維持すべきだと考える層が存在するかもしれない。儀礼の簡素化が「皇室の権威や神聖さの低下につながる」と心配する向きもあるだろう。
だが、今の日本にそんな権威主義が必要だとは思えない。平和を願い、国民に寄り添い、家族を大切にする上皇、天皇のお姿そのものが、国民の心を一つにまとめる“大きな力”となっているのではないだろうか。
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