あおり運転とは、車間距離を極端に詰めたり、幅寄せをしたりなどして他者に危険を及ぼす行為です。事故やトラブルなどの原因になることもあり、社会問題となっています。
また、あおり運転については2018年より厳罰化の流れがあり、場合によっては懲役・罰金などの罰則が科せられる可能性もあります。
この記事では、あおり運転は暴行罪で逮捕される可能性があるのか、また、ほかにはどのような罪が成立する可能性があるのか、などについて解説します。
あおり運転は暴行罪で逮捕される?
あおり運転については、これまでも危険視する声が度々上がっていましたが、2017年に発生した、『あおり運転による高速道路上での死亡事故』がメディアに取り上げられたことで、大きな社会問題へと発展しました。
それを受けて2018年1月には、警視庁から全国の警察に対し、あおり運転を厳しく取り締まるようにとの通達が出されました。
参考元:“あおり運転”など厳罰化へ 全国に通達|日テレNEWS24
これによって、2018年1月以降はあおり運転について厳罰化の流れがあります。実際にあおり運転で暴行罪が適用された事例もあります。
<事例>
2018年4月に愛媛県にて、前方車両との車間距離を詰めたり蛇行運転をしたりなど、いわゆる『あおり運転』をしたとして、暴行容疑で男性が逮捕された事件です。四国で、あおり運転に暴行罪が適用されたのは、この事件が初めてとのことです。
参考元:あおり運転容疑で書類送検 暴行罪適用、愛媛県警|産経WEST
ちなみに2018年以前も、『あおり運転に該当する行為が、暴行罪にあたると解釈できる』と、裁判所にて判断されたこともあります。
<判例>
1975年、被告人が被害者の運転する自動車に対して、幅寄せ行為を行い死傷させたとして、傷害・傷害致死容疑で逮捕された事件です。裁判所は「犯行は故意であった」として、被告人に対し懲役2年との判決を下しました。また犯行について、「刑法上は暴行罪にあたると解釈するのが相当」との考えも示されています。
参考元: 1975年4月東京高裁による判決|文献番号1975WLJPCA04150009
あおり運転に関する罰則
あおり運転については、暴行罪・車間距離保持義務違反・過失運転致死傷罪・危険運転致死傷罪など、さまざまな罪が適用される可能性があります。『どれが適用されるか』については、ケース・バイ・ケースといえるでしょう。
それぞれの罰則については、以下のとおりです。
・暴行罪…2年以下の懲役または30万円以下の罰金
・車間距離保持義務違反…一般道路では5万円以下の罰金、高速道路では3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
・過失運転致死傷罪…7年以下の懲役または100万円以下の罰金
・危険運転致死傷罪…相手に怪我を負わせた場合は15年以下の懲役、相手を死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役
まとめ
あおり運転については、2018年より厳罰化の流れがあり、実際に暴行罪が適用されたケースもあるようです。
このように暴行罪での適用が積極的にされるようになれば、仮に事故が発生しなかったような状況でも、あおり運転行為そのもので刑事責任を問われるケースが出てくるかもしれません。
最後に注意点として、ご自身があおり運転の被害に遭った際、『腹が立ったから驚かせてやろう』などと、急ブレーキを踏んだりするのは避けましょう。
事故やトラブルの原因となるだけでなく、『正当な理由なく急ブレーキを踏む行為』は道路交通法で禁止されているため、結果、相手が事故で負傷すれば刑事責任が発生する可能性もあります(道路交通法第24条)。
あおり運転の厳しい取り締まりは、今後も続けられていくものと予想されます。自動車を運転する際は、よりいっそう安全運転を意識しましょう。
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