ついにやってきた蒸し暑い日本の夏。肉球くらいでしか汗をかけないペットを熱中症から守るには、飼い主がしっかりとケアしなければなりません。メルマガ『佐藤貴紀のわんにゃんアドバイス』の著者で獣医師の佐藤先生が今回教えてくれるのは、犬以上に気をつけなければならない猫の熱中症の見分け方と応急処置法、そして、病院への連れて行くときの処置法です。
猫の熱中症の家庭でできる「応急処置」について
熱中症とは、高温多湿の環境下にいることによって体温調節機能がうまく働かず高体温になって引き起こされます。
実は猫は、人よりも体温調節が苦手な生き物です。犬よりも「熱中症」に気をつける必要があります。猫の場合も汗腺がほとんどなく、肉球くらいにしかありません。体毛を舐めるか、口呼吸による気化熱を利用することでしか体温調節ができないのです。熱が体にこもります。
さらには、猫の習性として、体調が悪いと飼い主さんに見せないところがあるのでその見分け方は難しいと言えます。その見分ける方法と病院に連れて行く時の「応急処置」が大切なので簡単にできる方法をお伝えしていきましょう。
1)猫の「熱中症」の見分け方
まずは「熱中症」の見分け方です。こんなところを見て観察をよくしてみてください。下記の2つの病状が見えたら熱中症の疑いがあると思ってほしいですね。
- 呼吸が速い、元気がない、食欲がない
- 口を開けてハアハアと呼吸し始める
特に、猫が口を大きく開けて舌を出してハアハアと浅くて速い呼吸をし始めたら状態は悪化しています。この時点で体を触るととても熱く感じるはずです。この時はまだ初期症状です。この時点で病院に連れて行ってください。連れて行く時の応急処置も大切なのでその方法をお伝えします。
2)病院に連れて行く前と連れて行く時の「応急処置」
病院にまず、連絡をして病状を伝えましょう。そして、下記のことをしてください。
- 猫の身体を冷たい水で濡らしたタオルで全身を包む
- タオルで包んだ保冷剤を、首やわきの下に挟みましょう。(これが一番、効率よく体を冷やすことができます。)
さらに連れて行く時の「キャリーバッグ」にもクールマットやタオルでくるんだ保冷剤を入れてください。そして、そのうえに猫を寝かせます。冷やす事がとても大切です。
まとめ
猫の熱中症の7割が室内で起きています。部屋の中には、家具のすき間など猫が好む狭い閉鎖空間がたくさんあります。「うちの猫ちゃんは完全室内飼いだから大丈夫よ」と思っていたら大変な間違いです。
熱中症は、飼い主さんがしっかりと注意・対策をすることで防げる病気です。特に猫は気難しくて、せっかく用意したひんやりグッズも使ってくれないこともあります。しかし、対策を万全にして、猫も飼い主も快適に過ごせるようにしてあげてください。
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