犬や猫をはじめ、ペットを飼う人が増えていますが、実はそれに伴い動物病院の数も年々増加傾向にあります。農林水産省によると、平成30年の「飼育動物診療施設の開設届出状況」は11,981件。過去最高を記録しています。今や家族の一員としてなくてはならない存在になっているペットたち。メルマガ『佐藤貴紀のわんにゃんアドバイス』の著者で獣医師の佐藤貴紀先生は、ペットの外科手術後によくあることとして、「手術糸を気にするあまり自分で傷口を舐め、糸を外してしまう子が多い」と指摘します。では、そうならないためにもどんな注意をすれば良いのでしょうか?佐藤先生がその対処方法を教えてくれます。
傷口の手術糸を外すペット…家庭での対策は?
外科手術を終えて自宅に連れて帰った後、ペットが縫合部分を気にしてしまい、いつの間にか糸を外してしまった事はありませんか?飼い主さんとしては、傷口が開いて内臓が出てこないか心配されるかと思います。どうしたらいいのでしょうか?今週のテーマです。
1)糸が解けてしまうとどうなるか?
神経質な子の場合、手術後に皮膚を縫合した糸を気にするあまり、噛んで歯で糸を切ってしまったり、舐めたり後ろ足で掻くなどしているうちに、縫い目が解けて糸が取れてしまうことがあります。
手術などで開腹手術をした後、通常は奥から腹膜、筋膜、皮膚と何層にも渡って縫うため、表面の糸をほどいてしまっただけでは傷口が大きく開いてお腹の中のものが出てきてしまう事は考えられません。慌てずに対応する事が大切です。
2)どのような対応をすべきか?
まずは、解けてしまったところをそれ以上舐めさせないために、もし手術箇所がお腹の部分だったら洋服を着せることをお勧めします。お腹に洋服が被さっていると、舐めたくても舐められません。エリザベスカラーよりも嫌がらないですし便利です。その後、病院に早めに行ってくださいね。
■まとめ
切り口が塞がるまで最低3日かかります。一番怖い事は、舐めることで傷口にバイ菌が入り、化膿してしまう事です。もし、ペットが手術したところを少しでも気にしているようでしたら、糸が解ける前に洋服を着させる事です。
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