ニョキニョキとそびえる高層マンションや数百戸にも及ぶ大規模マンションなど、次から次と新しいマンションが建設されていく一方で、耐用年数をはるかに超えた老朽化マンションが問題となっています。あまり身近に感じる人はまだ少ないかもしれませんが、数年後に必ず大きな問題となることは間違いありません。そこで今回は、メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で一級建築士及びマンション管理士の廣田信子さんが高経年マンションについて解説していきます。
マンションの市場価格が200万円を切ったらどうする?
こんにちは!廣田信子です。
売買価格が200万円を切ったというマンションの方からの相談です。
「独身の高齢者の新入居が続いて困っている。彼らは、200万円のマンションなら家賃を払うより買った方がいい。借りるのは、高齢者だと大変だけど、買って住むのには、誰も文句をいわない。家賃を払うよりずっと得だ。管理費、修繕積立金も安い方がいい。相続する人もいないから、自分が生きている間もってくれればいい。…そんな風に考えている。マンションの市場価格が200万円を切ったら、どう考えても、長期修繕計画を頑張って市場価値を上げよう…なんて思わない。200万円の高経年マンションはどうしたらいいのか…」
と聞かれました。
それは、決して珍しいことではありません。頑張って自分たちで維持管理したマンションでも起こります。
350万円を切ると大変だと聞いたことがありますが、それをそのまま放置すると、200万円を切ることにも…。
頑張っていた方々が亡くなり、人が入れ替わります。それなりに管理がされていて、価格が安ければ購入者もいるのです。
その時に、家賃よりましだと考えて入居する人が増えると、管理組合運営は難しくなると思います。
その高齢の購入者が亡くなったあとはどうするかです。お子さんがいなければ、誰かが相続しないとたいへんなことになります。でも、そこまで考えて購入している方は少ないと思います。
そして、そのマンションを何とか維持管理したいと考えていた以前から居住の高齢区分所有者の方もこの状況で、将来に意欲がなくなります。そういう状況になると、そのマンションも終わりを考える時が来ます。
でも、その話は、なかなか進みません。誰も言い出したくないので、そのまま時が進みます。