ゼロコロナ政策に対する猛烈な抗議デモを受け、大幅な緩和策に出た習近平政権。果たしてその判断は正解だったのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、北京で早くも発生したという感染爆発を伝える記事を紹介。さらに中国にとって2023年が、「進むも地獄、退くも地獄」となってしまう理由を解説しています。
なぜ中国の2023年は【進むも地獄】【退くも地獄】なのか?
今回は、中国の話です。
中国でゼロコロナ政策に反対する大規模デモが起こった。皆さん、ご存知でしょう。
デモでは、「習近平やめろ!」「共産党やめろ!」といったスローガンを掲げている人たちもいました。「国家主席やめろ!」というデモは、1989年の天安門事件時以来、実に33年ぶりとのことです。
習近平も驚いたのでしょう。速やかに、「ゼロコロナ政策」をやめました。問題は、これからどうなるかです。
中国ゼロコロナ政策の成果
新型コロナパンデミックは、中国から始まりました。ところが、中国は強権を発動し、ゼロコロナ政策を推進することで、新型コロナを抑えこむことに成功します。
新型コロナの感染者数と死者数トップ10を見てみましょう。2022年11月末時点で、
- アメリカ 感染者数98,628,566人 死者数1,079,477人
- インド 感染者数44,673,293人 死者数530,615人
- フランス 感染者数36,671,077人 死者数155,221人
- ドイツ 感染者数36,419,717人 死者数157,657人
- ブラジル 感染者数35,149,503人 死者数689,442人
- 韓国 感染者数27,031,319人 死者数30,454人
- 日本 感染者数24,541,816人 死者数49,289人
- イタリア 感染者数24,260,660人 死者数181,098人
- イギリス 感染者数23,998,168人 死者数211,845人
- ロシア 感染者数21,273,541人 死者数383,993人
では、中国はどうなのでしょうか?
53.中国 感染者数1,524,446 死者数5,233人
中国は人口世界一の国でありながら、感染者数は人口10分の1以下日本の16分の1、死者数は9.4分の1です。それで、習近平がゼロコロナ政策を自画自賛する理由も理解できます。
独裁体制でないため、完璧なゼロコロナ政策を実行できなかった他の国々は、どうなったのでしょうか?2020年にパンデミックがはじまり、2021年、2022年にかけて、いくつかの波を越えてきました。日本は、現在第8波だそうです。
2020年は、新型コロナのことがわからず、本当に恐ろしかった。2021年は、ワクチンが普及しました。2022年は、自分がコロナにかかったか、親戚、友人、知人がコロナにかかったか。「コロナ慣れ」して、恐怖心がなくなってきた。日本も他の国々も、3年かけて「ウィズコロナ」の時代に移行したのです。
ところが、「ウィズコロナ」に移行できなかった大国があります。そう、中国です。