国語の授業の中にある「音読」。小学校の授業で、宿題で、音読があった記憶がある人も多いですよね。メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の著者で現役小学校教師の松尾英明さんは今回、音読の重要性について語っています。
音読の効能、読み聞かせのもつ力
前号に続き、国語の実践について。
何だかんだ、どの年でも国語の実践には力を入れている。国語の力こそが全ての学びのベースとなるからである。「クラス会議」のような話し合いも、言葉を伝え合う力があってこそ生きるといえる。今年の新刊でもテーマにした「聞く力」はまさに国語科を中心に育む力である。(参考:『学級経営がラクになる! 聞き上手なクラスのつくり方』学陽書房)
前号でも紹介した神戸の多賀一郎先生からの学びで、一つ大きな気付きがあった。
それは「音読」の重要性の再認識である。
音読は、再び脚光を浴びてきている。その様々な効能については各方面で言われているのでここでは書かない。
今回学んだのは、特に低学年における音読の重要性である。
通常、大人は音読するよりも、黙読する方が圧倒的に読み進める速度が速い。何倍もの速さである。しかし、こと理解に関してはどうか。
定期的に読書会等に参加していると実感するが、音読すると確かに理解が深まる。(ちなみに毎回の使用テキストは、『修身教授録』森信三著 である。)
音読すると、速くはないが、理解は深まる。実質、どちらの方が「効率的」な学習ができているのかということである。
つまり、音読するということは、理解そのものを促す効果がある。この時、速さや読み方などに気を取られすぎると、しっかりとした理解に繋がらないので注意である。
低学年、特に一年生において、指摘されるまで気付かず盲点となっていたことがある。それは、「音読している方が、黙読している時よりも読む速度が速い子どもがいる」ということである。つまり、言葉を覚えたての子どもたちにとって「黙読そのものが難しい」ということである。