米国連邦最高裁判所は、トランプ政権が導入した「相互関税」について、法的根拠とされた緊急権限の行使を違法と判断しました。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、ニューヨークタイムズの記事から、今回の最高裁判断は、トランプ関税の何を否定し、何を残したのかについて語っています。
トランプ関税に待ったをかけた米国最高裁
トランプ政権による「相互関税」について米国連邦最高裁判所は「違法」との判断を示しました。
トランプ大統領「最高裁の関税の判決には深く失望した。判事たちを恥ずかしく思う」と発言しました。
トランプ政権は現在の「相互関税」を速やかに終了したうえで「通商法122条」に基づいた世界対象の10%の追加関税を新たに導入ました。
なんとも分かりにくい話です。
これについてニューヨークタイムズの記事をみて見ましょう。
記事抜粋
IEEPA(国際緊急経済権限法)とは何か?
1977年に制定されたこの法律は、国家非常事態時に大統領に広範な経済権限を与える。
今回、最高裁はトランプ関税はこの法律の緊急権限を乱用した行為として無効とした。
トランプ氏はこの法律を根拠に、数十の貿易相手国への輸入税を正当化してきた。
しかし最高裁は「IEEPA第1702条ににそのような権能はない」と述べた。
解説
米国大統領が国家非常事態を理由に関税率を自由に操作ではわけではないという判決です。
最初にこの権限をトランプ大統領が使ったのは、第一期大統領任期中、メキシコに対してです。
メキシコが「不法移民危機」に対処しない限り、同国からの全輸入品に5%の関税を課し、段階的に25%まで引き上げると宣言したのです。
その後、米国がメキシコが移民流入抑制で合意したため、トランプ氏はこの脅しを撤回しました。
この時、彼は関税を国際交渉の武器にする事の「簡便性と有効性」を実感したのでしょう。
その後は乱用といってよい状況でした。それに最高裁が歯止めをかけたのです。
正しい判決と思います。
しかし、あくまで今回の判決はIEEPA(国際緊急経済権限法)による関税措置への判決です。
トランプ大統領の関税の武器化には一定の歯止めがかかったものの、まだ米国の貿易パートナー国は安心できません。
根拠を他に求めれば、大統領は関税率を自身の裁量で上下させることはできるからです。
トランプ大統領はただちに「通商法122条」に基づいた世界各国が対象の10%の追加関税を新たに導入しました。
そしてすでに15%への引き上げについて言及しているからです。また「通商法301条」も発動もありえるからです。
しかし海外の貿易国よりもさらに混乱が起きそうなのは米国内です。
政府は数千の米国輸入業者に対し、1000億ドル(約15兆円)を超える関税収入を還付せざるを得ない可能性があります。
その規模と複雑さは前例がなく、数か月から数年を要する目眩がするような手続きとなると予想されます。
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