長らく続いたデフレの時代、日本では「借金は悪」「資産価値は下がるもの」という感覚が半ば常識となっていました。しかし、ここ数年の急激なインフレや円安、資源高騰によって、その前提が静かに崩れ始めています。今回のメルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』では、著者の吉田猫次郎さんが、デフレ時代の常識を覆すケースについて語っています。
インフレと借金と実態貸借対照表
よく、「借金を抱えていても、モノをたくさん持っている人はインフレ時に形勢逆転する」「物価が上がるとお金の価値が相対的に下がるため、借金の実質的負担が目減りするのだ」…と言ったことが、本に書かれています。
まあ、現在起きている物価高は単なるインフレではなくもう少し複雑だと思われるので、そう単純にはいかないと思いますが、とはいえ、事業再生の現場で多額の借金を抱えた会社を見ていると、いろいろ思うところがあります。
なにしろ、デフレの時代が長過ぎました。日経平均株価は1990年代後半から1~2万円台で推移していました。マクドナルドのバリューセットは400~500円、牛丼チェーン店は1杯300円前後、ユニクロのフリースは1980円で買えました。
比較的最近までは。
会社の資産評価においても、購入した金額よりも評価が下がるのが常でした。土地も、建物も、車も、投資有価証券も、商品在庫も、ほぼ全てが。
たとえば、経営改善計画を策定する際、「実態貸借対照表」というのを作ります。
決算書に記載されている内容が「簿価」だとすれば、それを「時価」に変えて、両者を比較する表のようなものを作成するのです。(※実態貸借対照表は、略して実態BS、実バラなどとも言います。)
例: 会社の車。決算書に記載されている簿価は300万円だとします。
→ これが、減価償却の有無や、中古車市場での買取相場、その車を事業に使用し続けるか。それとも処分するかなどをもろもろ勘案した結果、時価は100万円に…。
と、こんな例は今でも普通にある話ですが、これが高騰中の投資有価証券や、土地、建物などに至っても、経営改善計画策定の現場では、「マイナス評価」が半ば当たり前でした。
5~20年前に私が受講した専門家向けセミナー(講師は公認会計士、税理士、弁護士、金融機関職員など)でも、実態BSの評価方法は、「低く見積もる」のが一般的でした。たとえば、事業継続ベースであっても、「棚卸資産は簿価の60~80%」「投資有価証券や保険積立金は簿価の50~80%」など。
それが今、そう単純ではなくなってきています。
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