ご飯やパンを食べるとなぜ眠い?糖質が引き起こす生理学的変化を医師が解説

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食後に眠くなるのは「満腹になったから」「休憩時間だから」と考える人が少なくありません。しかし、その眠気は単なる食事量の問題ではなく、摂取した栄養素、とくに糖質が体内で引き起こす生理学的な変化が関係している可能性があります。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、著者の江部康二さんが、糖質摂取と食後の眠気の関係について、トリプトファンやインスリンの働きに着目しながら、そのメカニズムを解説します。

糖質摂取と食後の眠気

食後は眠気がきて当たり前と思っている人が多いと思います。

しかし、糖質セイゲニストは、食後の眠気はまずありません。

「糖質摂取と食後の眠気」に関してですが、いろんな仮説があります。

その中で、以前、ブログ読者の方から、デブリンの生化学の記述についてコメント頂きました。

「血液脳関門を介する輸送に対して他のアミノ酸がトリプトファンと競合すると、トリプトファンの利用率が減弱する。

糖質の催眠効果は、インスリンの遊離が促進され、他のアミノ酸が同化作用により血液中濃度が低下することにより競合が緩和され、脳内に入るトリプトファン量が増加することにより眠気を引き起こす」

原書7版 p990

トリプトファン (Tryptophan) はアミノ酸の一種で、ヒトにおける9つの必須アミノ酸の内の1つです。

セロトニン・メラトニンといったホルモンの前駆体でもあります。

メラトニンはトリプトファンからセロトニンを経て体内合成されます。

メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれています。

糖質摂取

インスリン多量分泌

トリプトファン以外のアミノ酸の骨格筋への取り込みと蛋白質合成促進

トリプトファン以外の血中アミノ酸濃度低下

相対的に血中トリプトファン濃度上昇

血液脳関門を通過するトリプトファン増加

脳内トリプトファン量増加

セロトニン増加

メラトニン増加

眠気出現

インスリンは、骨格筋に作用して、トリプトファン以外のアミノ酸の細胞内への取り込みを増加させて、蛋白質合成を促進させます。

バリン、ロイシン、イソロイシンは、筋肉合成に関わる主要なアミノ酸ですが、中でもロイシンの役割が重要です。

血中のトリプトファンは輸送体によって脳内に運ばれますが、この輸送体はバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど長鎖中性アミノ酸も輸送します。

インスリン分泌によりバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなどトリプトファン以外の長鎖中性アミノ酸が、筋肉合成に使われて血中濃度が低下すれば、相対的に血中トリプトファン濃度が上昇します。

このように、競合する他のアミノ酸が減少すると、血液脳関門を通過するトリプトファンが増加して、睡眠ホルモンであるメラトニン産生が増えて、眠気が出現することとなります。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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